爆裂BOX

ザ・マッドネス 狂乱の森の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・マッドネス 狂乱の森(2010年製作の映画)
3.8
殺人鬼の仕掛けた穴に落ちた妹を助ける為、兄は4人のテニスプレイヤーの乗る車に助けを求める。車に残った二人の女性の通報によってきた警官は変態警官だった…というストーリー。
珍しいイスラエル産のスラッシャー・ホラーです。監督のアハロン・ケシャレスとナヴォット・パプシャドは続く「オオカミは嘘をつく」が釜山国際映画祭でタランティーノに絶賛され、ナヴォット・パプシャドの方は「ガンパウダー・ミルクシェイク」でハリウッドデビューしましたね。
変態警官に身体検査と称してセクハラを受けた女子二人のうち一人が銃を奪って警官の指を吹き飛ばしてしまい、森に逃げ込んだ二人を怒った警官が追う。一方で兄と共に森に入った男子二人も些細な事から争い始めるという内容です。
森の中で殺人鬼と言うと「クライモリ」の様なストーリーを想像しますが、殺人鬼は犬を殺しただけで物語の殆どを眠っています。森にやってきた何の関係性もない登場人物が些細な事から争い、次々と死んでいく予想のつかない展開で面白いです。死んでいく順番とかも中々予想付かなかったですね。また、森の中にはクマ用の罠や地雷なども意外な展開へと結びついていきます。ここら辺はちょっと「ファイナル・デスティネーション」感あったな。
近親相姦の禁断の関係になって家出した兄妹、テニスに向う途中道に迷って兄を轢いてしまった若者4人、通報を受けてきた浮気して必死で妻に電話かけて謝ろうとする警官とセクハラ変態警官、犬を連れて何時もの様にパトロールに来た森林警備員、そして殺人鬼と誰が主人公かわからないくらい次次登場する登場人物の中では変態警官が一番恐くていい味出してました。殺人鬼よりもキモくて怖かった(笑)一番可哀想なのは森林警備隊員の男でしたね。善意が仇になり、無残に殺され、殺された後に入る無線報告はとても無情でした。あるキャラが常に名前で呼んでた父親から瀕死の状態の時に携帯に電話かかって来て罵倒されて、「父さん」と呼ぶけど嘲笑されて更に罵倒される所や、浮気してひたすら妻の携帯や家電に謝罪の伝言残してた警官が、妻への不満を正直に伝言で残したら妻から直後に電話かかって来てやり直したいと言われて、妻が家に帰るまでに伝言消去しなきゃと慌てる所等、製作者の底意地の悪さが窺える所やそれがブラックな笑いになっている所も良かったです。
最初の罠に落ちた兄妹の会話シーンから微妙に意見にずれがある所が、その後登場するキャラたちの些細な意見や視点のずれが惨劇を呼ぶ展開の予告になっている所も面白いですね。
グロシーンはそんなにないですね。上記の警備員がハンマーで顔殴られて口がぐちゃぐちゃになってるシーンが一番グロかったかな。警官が地面に突き立ってたドリルで胸貫通する所もゴア度はそんなに高くないけどショッキングではあるかな。
女性陣が皆綺麗なのも良かったです。金髪女子が一番可愛かったな。彼女の森の中での放尿シーン捉えた変態カットも出てきます(それにしても長かったな)
最後の夫婦も喧嘩しだした所からすると、この森自体が人間を狂わせる場所なのかな?浮気警官もそれまで必死に謝ってたのがいきなり不満ぶつけ始めたのもこの森の空気に当てられたのかもと個人的に感じました。あの夫婦の若者そっちのけで口げんかしだしてその後車のエンジンがかからない所で暗転するのもその後の嫌~な展開想像させて余韻が残手って良いですね。
エンドロールのオチには笑ってしまいました。それが言いたかったのね(笑)まあ、最近の状況とか見てもそう感じてる人結構多いのかな…
スラッシャーというよりはシュチエーション・スリラーという感じですが、中々異色で珍しい作品です。これからのイスラエル作品が楽しみです。
しかしイスラエルは誰でもはいれる森の中に地雷があるのが普通なんですかね…