櫻イミト

悪魔の眼の櫻イミトのレビュー・感想・評価

悪魔の眼(1960年製作の映画)
3.5
ベルイマン監督が「処女の泉」(1960)と「鏡の中にある如く」(1961)の間に撮ったブラックな喜劇。「若い娘の貞淑は、悪魔にものもらいを発症させる」というアイルランドのことわざを映画化。

サタンの眼にものもらいができ原因を探ったところ、地上界の牧師の娘の貞節が原因だとわかる。サタンは娘の純潔を奪うために、地獄の住人でプロの誘惑者ドン・ファンと助手の悪魔たちを地上に送る。ドン・ファンは娘の唇を奪うことに成功するのだが。。。

わかりやすく寓話的な物語で喜劇というより演劇仕立てのファンタジーだった。ベルイマンの喜劇というと「夏の夜は三たび微笑む」(1955)が有名だが、本作のほうが深刻さや皮肉が少なく軽快に楽しめた。助手の悪魔が黒猫に変身するなどナンセンスなデティールも面白い。

ベルイマン作品の中では珍しく良心的な内容の一本。
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