シュローダー

カラフルのシュローダーのレビュー・感想・評価

カラフル(2010年製作の映画)
3.0
実は観てなかったので原恵一の新作に備えて観てみたら、物凄〜く嫌いな映画に出会ってしまったので頭を抱えている。物語が全く肌に合わなかったのは勿論なのだが、カット割と台詞回しがとにかく苦痛で仕方なかった。2人の人間が喋ってると片方がセリフを言い終わるまでその人を写し、相手が喋りだすと相手を映すバカ正直な切り返しを一言ずつ繰り返すカット割が全編繰り返されるのでとにかくテンポが悪い。明らかに90分から100分弱の上映時間に出来るであろう話なのに127分になってしまっているのはこの冗長な演出のせいだろう。そしてその演出の中で話されるセリフも「思春期の人間が喋ることだから」と擁護は出来ないレベルで説明的で何の捻りもないものばかり。特に後半に差し掛かり始めてからタイトルを回収するために大して目新しくもないメインテーマめいた人生についての主張を大きな声で主人公が言い始めるのだが、ここまで散々思春期ムーブを繰り返してきたのに何故急に援交をしてる女の子に説法が出来るほど物分かりが良くなりすぎるのかあまり腑に落ちないし、この映画全体で提示してくる人生観についても、「良きこと」の押し付けがかなり宗教的なレベルに達していて物凄く居心地が悪かった。道徳の授業で見せるにしては作品内で肯定される人生のパターンが保守的すぎて気持ち悪いということなのかもしれない。まぁとにかく、生理的に無理な映画でした。明日公開の新作も、予告を見る限りかなり今作のテイストに近そうなので、観に行こうか行くまいか迷ってしまう。