バナバナ

カラフルのバナバナのレビュー・感想・評価

カラフル(2010年製作の映画)
5.0
「ボク」は前世での記憶を無くして、ニセ小林真として蘇生し、小林家の次男として生活を始める。

小林家のお父さん、お母さんはすごく良い人だが、話が進むにつれて観客は、実はこの小林家が以前はバラバラな家族だった事が、少しずつ分かってくる。
思春期の反抗期というと、親を敵対視する代わりに、友達と秘密を共有したりして親密になったりするが、
この時期は、友人と濃厚な人間関係を築く大事な時期なのだそうだ。
しかし、真はこの時期に全く友が居ず、一人ぼっちだった。
そして、家庭でのある事件をきっかけに、とうとう緊張が弾けて、彼は“死”を選んでしまった。

大人の立場から言えば、大人だって仕事や生活に追われて、自分をコントロールできない位疲れ果てる時だってあるのだが、家庭の支えがあったら真は“死”を選ばなかったのかな…と思うと、親の責任の重大さを痛感する。

真には無口で優秀な兄がいるが、家庭の雰囲気や、弟が追い詰められている事にも気付いてはいたのだろう。
だが、不器用で何も出来なかった。
真が危篤状態の時に壁を叩いていた姿や、弟の為に私立の大学受験を止めて、一浪して国立を狙うと言い出したりして、むっつりしているが、実はこの兄も優しい人なのだ、という事が分かる。

小林家の人々がみんな優しいのは、真の事件によって、家族に対する労わりを思い出し、家族の信頼を取り戻そうとする、それぞれが努力している姿なのだ。
ラスト、泣いてしまったので、一人で観に行ってほんとよかった。
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