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ノット・レイテッド アメリカ映倫のウソを暴け!のRのレビュー・感想・評価

4.4
一般人にとっては18歳を超えると全く気にならなくなる映画のレイティングシステムだが、映画を作る側からするとかなわんわ、というわけで、アメリカのレイティングを決定する極秘組織MPAAの実態を暴いていくドキュメンタリー。アメリカのレイティングはG/PG/R/NC17にわかれてて、NC17(17歳以下の子どもは見てはダメ)がつくとプロモーションが困難になり、オーディエンスが相当限定されてしまうことになる。理不尽なのになぜか強固に根付いてしまってる意味不明な権威を根底から揺るがす的テーマが大好きなボクはたまらなくワクワク。しかも単にレイティングシステムに食いついてく攻撃性だけでなく、ユーモア満載で笑えるシーンめっちゃ多いし、途中からは探偵映画みたいになってって、しっかりエンターテインメントもしてて、すごく楽しい映画になっている。レイティングのおかしな矛盾点をついていく前半では、例えばおっきなスタジオで製作された映画はインディーズの映画より縛りが緩かったり、米軍をリアルに描写するとレイティングが厳しくなりヒロイックに描くと合格、ヘテロセックスは規制が緩くホモセックスはアウト、あと、Fuckなどのスウェアワードは数がカウントされてたり、ひょっとしてセックスシーンでは突きの数がカウントされてるのでは、のシーンのカウント音、面白すぎて爆笑。あと、ジョンウォーターズ監督の発言はよかったね。誰でもインターネットにアクセスできる現代、興味津々な10代の若者にどんだけエロいもの見ちゃダメ!と言ったところで、すげぇもんがあったらどんなえげつなくても見ないわけないだろ、なのに映画界はどんだけナイーブやねん、ってホンマそれ! てか、アメリカってバイオレンスの方が何やかんやうるさいんだと思ってたら、セックス関係のほうがキツイらしく、ちょっと意外だった。ヨーロッパは真逆なんだとか。で、ほんじゃ一体勝手にレイティングを決めてる「平均的なアメリカ人」って一体どんなヤツらやねんと、彼らの実態を追究していくプロセスがめちゃめちゃ面白い! こういう過激なことが出来てしまうアメリカ社会って、最高にスリリング!と思うけど、逆の立場になって考えるとちょっと怖くもある笑 まぁいい気味やけど。で、そのあとさらにもうひと展開あるんやけど、それ見てアメリカってホンマおかしな国やなーとケラケラ笑ってると、ふと、じゃあ日本は?って考える。いや、日本はもっとおかしいぞ。日本のこの性に対する異常なまでの隠蔽主義は一体何なんだろうか。未だに人雇ってわざわざ不要なモザイク入れ続けてる意味って、無駄な人件費以外の何なのだろうか。今の時代に怒張した男性自身や使用中の女性自身を見てOMG!何てこった!見てられない!なんて思う人がいるのだろうか? なのにモザイクやらボカシなどでアート作品にすら泥を塗るようなことするんやから、そのひどさには言葉を失います。日本では本作のようなアグレッシブな映画作るのむずいんやろなー。いやー。ほんとに。いろんな意味で面白い映画でしたー。とりあえず映画のボカシはホントに無意味やし興醒めするので今すぐにでもやめてほしいです。
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