連日のガザ侵攻のニュースで気になっていたイスラエル・パレスチナ問題。この作品ではその根深さを知ると共に、無限ループに陥っている戦争の虚しさに襲われた。
どんな作品を観れば理解が深まるか探していた時に、フォロイーさんの多数のレビューでこちらを知りました!(特に最近レビューされていたgenerowlandsさんに影響されました。ありがとうございます〜!)
スピルバーグ監督なので、人間ドラマ、そしてハラハラするサスペンスとしても一流の作り。長尺だったけど飽きずにラストを迎えた。
パレスチナ問題とミュンヘン五輪事件の両方を少し予習しておいて正解だった。
イスラエル側の視点で描かれる、テロリスト達への報復作戦。イスラエルの「工作員の苦悩」に心が揺さぶられた。
一方で、パレスチナ人の大義名分を主張するようなシーンもある。とても短いけれど。
デリケートなテーマだから、このくらいが限界だったのかな。そりゃ難しいよね。
なので長年続く軋轢を何も知らなかったら、過激派によるテロの印象だけが強く残り、偏った見方で終わっていたかもしれない。テロはもちろん絶対許せないし、まったく理解できない怖さがあるけど。本当に、テロは震え上がってしまう恐ろしさだ。
イスラエルとパレスチナ、それぞれが重きを置いているものは何なのか。
祖国、民族の誇り、家族…。
同じ「人間」の価値観なのに、どうしても相容れない歯痒さ。個人的には、主人公をヒリヒリさせるフランス人の情報屋ルイの一族が印象的だった。
ミュンヘン五輪事件が起きたのは1972年。
そこから50年以上経った今、ここ数日の衝突でガザでは7,000人も亡くなっているらしい。この結果で、世界には何の、誰のイデオロギーが伝わるんだろう。
1番の犠牲者は、身近な家族を愛している一般の人たちだという事を忘れてはいけないと思う。
今この時、軽く予習しての鑑賞をおすすめします!