mingo

アニキ・ボボのmingoのレビュー・感想・評価

アニキ・ボボ(1942年製作の映画)
4.0
ユーロスペースにて鑑賞。
貴重な作品なだけにどうしても観ておきたくて仕事終わりに立ち見で参加。

オリヴェイラ長編1作目にして先日観た「自転車泥棒」などのネオレアリズモの先駆的作品。
ポルトガル本国では親しみのある作品らしいが、クレーンの上から河へ跳びこむ少年、女の子からのキスで屋根から落ちそうになる少年などトリュフォーの「大人は判ってくれない」や「地下鉄のザジ」のような子供を瑞々しく描く店では相違はないが、前者とは少々違うのは残酷や友情の中にある「ちょっとした成長」を上手く魅せてくれることに心がほっこり。

タイトルのアニキ・ボボとはアニキボボ、アニキベベというかけ言葉で日本で言うドロケイの役決めで歌われる童謡がモチーフ。港町を海から丘まで所狭しとかけ回る子供達のリアリズム的描写。
サイレント映画のような活劇性。
真夜中に少年は屋根を渡って少女の家に走る。ついに少年と少女が窓枠越しに対面したとき午前3時の鐘が夜の街に響き渡る。なんて美しい映画なのだろう。

本作では少年少女がもつ危うさと溢れんばかりのパワーに圧倒されたのは言うまでもないのだが、大人だって真夜中にタクシーなんて使わずにチャリもしくは徒歩で好きな子に会いに行くくらいの気概は忘れちゃいけないよね。
mingo

mingo