千年女優

ベンジャミン・バトン 数奇な人生の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
2005年のハリケーン近づくニューオリンズの病室で死の床を迎えつつある老女デイジー。彼女が取り出して娘のキャロラインに読み聞かせを願う一冊の日記帳から、第一次世界大戦が終わった1918年の夜に数奇にも80歳の老体と同然に生まれ、年を経る毎に若返っていく不思議な体質を持つ男ベンジャミン・バトンの生涯を綴るドラマ映画です。

それまではホラーやサスペンスを描くことの多かったデヴィッド・フィンチャーが、『グレート・ギャッツビー』のフィッツジェラルドによる短編小説を原作に『セブン』『ファイト・クラブ』でコンビを組んだブラッド・ピット主演で描いた作品で、その奇抜な設定を壮大な映像で描いたことが評価され数々の映画賞にノミネートされました。

荒唐無稽に過ぎるお話の設定故にどうしても気になってしまう点はなきにしもあらずですが、デヴィッド・フィンチャーらしい、徐々にブラピになっていく主人公を始めとするこだわりの映像描写にはそれらの物語的な欠点を補って余りある説得力があり、すれ違い続ける人生でただ一点重なった瞬間の奇跡が後世に伝わる様を描いた一作です。
千年女優

千年女優