フィネシル

マニラ・光る爪のフィネシルのレビュー・感想・評価

マニラ・光る爪(1975年製作の映画)
4.4
作中に二つの映画のポスターが出てくる。一つは1961年のキリストを描いた映画『キング・オブ・キングス』でもう一つはエリザベス・テイラー、ロバート・バートン主演の『じゃじゃ馬ならし』。

『キング・オブ・キングス』も本作にキリスト教的なモードを与えており、恋人の仇に復讐を行う主人公フリオの行動の帰結もそうしたキリスト教的な背景なしには見れないと思うのだが、『じゃじゃ馬ならし』との関連で見た方が個人的にはより面白い。

『じゃじゃ馬ならし』自体、カタリーナという女性を結婚という関係の中でかなり手酷いやり方で「調教」(じゃじゃ馬ならし!)する劇で、明らかにこの映画における主人公の恋人リガヤと身売りされた彼女を買った中国人男性の関係に重なるし、『じゃじゃ馬ならし』を監督したゼフェレッリのより有名な『ロミオとジュリエット』とも、駆け落ちを約束した不自由な若い恋人同士が失敗するという結末においてエコーしている。