滝和也

エル・ドラドの滝和也のレビュー・感想・評価

エル・ドラド(1966年製作の映画)
3.8
嘗て結んだ友情は
腐れ縁となり、
悪に襲われし人々の
守り人へとなる二人…。

気持ちの良い西部男たち
が傷だらけになろうとも
身を捨てて悪に挑む。

「エル・ドラド」

ジョン・ウェイン&ハワード・ホークス監督が組んだ王道西部劇。リオ・ブラボーに続く第二弾と言える(それ以前にも組んだ作品はあるが…)。リオ・ブラボー自体がF・ジンネマン監督の真昼の決闘のアンチテーゼとして作られており、正にその系譜を継ぐ内容。

テキサス、エル・ドラドの街。水源を持つ牧場を持つマクドナルド家は新興勢力のジェイソン一家に狙われていた。一旦ジェイソンに雇われそうになったコール(ウェイン)は友人であるPJ(ロバート・ミッチャム)が保安官であり、事情を知り断る。だが誤解したマクドナルド家の息子から銃撃を受け、倒してしまうコール。誤解を晴らしたものの自らも撃たれ、その地を離れて行く。その後、PJが酒浸りとなり、マクドナルド家が危ういと知ったコールは旅で合ったミシシッピ(ジェームズ・カーン)と共にエル・ドラドへと向かう…。

不正を働き、人を脅す大人数の新興ヤクザに対して、力弱き街の人々に力を貸すため、友人を助けるため、ジョン・ウェインが現れる。勿論保安官であるミッチャムもウェインの手を借り、立ち直り、勇気と誇りを取り戻して戦う。更にそこに街の女や保安官補の爺さん、若者代表のミシシッピが加わり、皆で戦いを挑む。

正にリオ・ブラボーと同様のプロットであり、それは…誇り高き開拓者である西部の人々は悪に対し、逃げず、一致団結して戦うし、保安官やヒーローは西部劇で逃げ腰になったりはしないと言う西部劇の王道を見せるプロット。

ハワード・ホークスは女性的な作品、喜劇(スクリューボールコメディ)、戦争モノ、そして西部劇とハリウッドを代表するエンタメ職人であり、西部劇の面白さをよく知り、骨太な作品を生み出してきており、この作品もコール&保安官チーム対ジェイソン一家&雇われ殺し屋の図式での攻防戦が後半テンポよく描かれ、迫力、演出アイデアに富んでいて、かなり面白い。敵との攻防のアイデアも勿論、ウェインとミッチャムと言う一見無敵そうな英雄二人にハンデとなるケガ(二人とも撃たれちゃう)をさせ、ドキドキさせるような展開に持っていくのも巧みでした。

ウェインは西部男の代表格である荒っぽいが優しく、腕前で勝負するガンマン、また女に弱いが腕が立つPJにミッチャムがいて…酒浸りの演技含めてコメディ部分も引き受けており、ウェインと二人のセリフの掛け合いが見事。友情や信頼が底にあるゆえの乱暴な言葉やツッコミがまた良し。

若手代表のジェームズ・カーンも銃が下手キャラで爆散するソードオフショットガンを持ち迫力を高めているし、ウェインとの疑似親子みたいな関係も◎。保安官補の爺さんも銃の腕は良くて、口は悪い(笑)と言う定番なキャラで好きですね。ヒロインは二人、おしとやかでウェインを慕う街の女とウェインを撃ってしまうマクドナルド家の長女と好対照でありながら、西部の女と言う芯の強さを持つ方々でこれも好印象でした。

勧善懲悪のシンプルなプロットかつエンターテイメント性の高いアクション及びセリフのストーリー。正に王道西部劇です。スカッとしたい時にオススメです。
滝和也

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