千年女優

もののけ姫の千年女優のレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.5
人が太古からの神々と争う中世日本。東北の村エミシの少年で、村を襲ったタタリ神から死の呪いを受けたアシタカ。村を追われて除念の術求めて女傑エボシが統べる鉄の村タタラ場へ訪れた彼が、侍や犬神と繰り広げる激しい戦いへと巻き込まれる中、犬神に育てられて「もののけ姫」と呼ばれる少女サンと出逢う様を描いたアニメ映画です。

『魔女の宅急便』『紅の豚』で続けて日本アニメ映画の興行収入記録を塗り替えた宮崎駿が『風の谷のナウシカ』執筆後から構想していた物語を映画化した1997年公開作品で、他を圧倒する世界観と映像で世を席捲するとアニメ映画の枠に留まらず『E.T.』を上回る日本映画史上最高の200億円の興収を叩き出す一大ムーブメントを起こしました。

自作品を自身で潤色する手法は前作にも通ずる倒錯を感じるものの非の打ち所のない圧巻のアダプテーションで神秘的で猛々しい動乱の時代を綴ります。やや勧善懲悪的だった『ナウシカ』から複雑に変化した関係性は血で血を洗った末の正義なき現代にも通じ、それでも争いやまぬ世界にあって調和求めて奔走する少年に明日を託す一作です。
千年女優

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