ジャック・レモンとジュディ・ホリデイ共演作。監督は名匠ジョージ・キューカー。
ニューヨークで売れない下着モデルをしているグラディスは、ある日大金をはたいて中心部にある大きな看板に自分の名前を掲載してもらう。単に有名になりたいがための作戦だったが、次第に彼女の思いはエスカレートしていき...。
看板の持つ広告性の高さは言わずもがな、有名になることに異常な執着を見せる不思議な女の子のお話。
そんな偏屈な彼女に時に愛想を尽かしながらも、好きにならずにいられないピート役を弱冠29歳のジャック・レモンが好演。まさに彼の得意な役どころという感じで、グラディスにやきもきさせられる表情や仕草が最高でした！『アパートの鍵貸します』のファンとしては、ちょっとあの作品のバドを彷彿とさせるところがあってなお良かったです。
本作より前に『ボーン・イエスタディ』でオスカーを獲得したジュディも、得意のちょっと変わった女性役を熱演。
レモンとのコンビネーションが想像以上に噛み合っていて、他にもこの二人の共演作を見たかったなあと。
ピーター・ローフォードは絵に描いたような伊達男役、グラディスへの迫り方がもう自信満々すぎて普通の女性なら引いてしまうだろうなというくらいグイグイ！50年代の作品なのに、ちょっとお色気要素強めな演出もあって度肝を抜かれました。
さすがのキューカー監督、いかにもハリウッド・クラシックらしい微笑ましいコメディでした。
この時代にはかなり珍しくニューヨーク市内でのロケを敢行している点も貴重。セントラル・パークやタイムズ・スクエアなど、名所の数々の約60年前の様子が見られて興味深かったです。
