ホラーとスリラーがミックスされた幻想ノワール。撮影はフィルム・ノワールの名匠ジョン・オルトンで彼自身お気に入りの一本。
海辺の屋敷に姉妹が住んでいた。姉クリスティーヌは2年前に亡くなった夫の声の幻聴にうなされていた。そんな中、浜辺でサイキック・カウンセラーと名乗るアレクシスと出会う。姉は幻聴について彼に相談し、彼の不思議な事務所で降霊術を受けることにする。妹ジャネットは彼を怪しみ心配するのだが。。。
かなり面白く個人的にも大好物の映画だった。撮影監督オルトンがフィルム・ノワールで培った光と影の技術をホラーで活かし、ドイツ表現主義的な映像を作り上げている。降霊術のシーンはもちろん、夜の海辺や窓の光が非常に耽美的に撮られていて、本作を悪夢のような世界に仕立て上げている。
シナリオは定番パターンを破壊して意外性に富み先行きが全く読めなかった。降霊術のトリックは早々に明かされるのだがそこからがどんでん返しが何度もあって面白い。
アレクシスのペットのカラスがとても利口で名演。霊媒師の孤独なキャラクターを示す重要な存在となっていた。
映像もシナリオも比類のない個性を放つ知られざる傑作。日本語版ソフト化を熱望する。
※本作のバーナード・フォアハウス監督は本作公開後の1950年に赤狩りのブラックリストに載り監督のキャリアを奪われた。