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さらば愛しき女よのsyuheiのレビュー・感想・評価

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)
3.5
久々にロバート・ミッチャムの顔を観たらこっちも観たくなった。1975年のディック・リチャーズ監督作品。

第二次世界大戦勃発前夜のLA、探偵生活に倦んでいたマーロウに突然依頼を持ちかけてきたのは強盗で刑務所に服役していた"大鹿"マロイ。連絡の取れなくなった恋人ベルマを探し出してほしいと言う。ベルマ探しを始めたマーロウだったが依頼の関係者が次々と不審死を遂げる。果たして事件の真相は?

ロバート・ミッチャムがレイモンド・チャンドラーによる名探偵フィリップ・マーロウを演じるハードボイルドミステリー。ミッチャムによるマーロウの独白台詞が小説を読んでいるかのような雰囲気を醸し出している。若き日のシルベスター・スタローンが娼館でのチョイ役で出演しているのも見どころ。

マロイに関係する人物が次々に死んでいく謎が最後にはきれいに解け、独特の余韻を残して100分未満で終わる秀逸なノワール。戦争を控えた40年代LAの荒んだ雰囲気が横溢しているものの、デイビッド・シャイアが手掛けるスモーキーで美しい劇伴が映画の格調をグッと高めている。

原作では本作当時のマーロウは30代だったように記憶しているため当初は50代を超えたミッチャムは歳を食いすぎているように思えたが映画の進行とともに全く気にならなくなった。エリオット・グールドほどではないが本作でもマーロウはタバコを吸いまくる。

ラストシーンでヤンキースのディマジオによる連続安打記録が途絶えたことを報じる新聞が映ったので日付を調べたら1941年7月18日金曜日とあった。念のため調べてみたら確かに記録は1941年でストップしており曜日も正確だった。こういう細かいところまでちゃんとしているのは偉いと思った。

https://x.com/syuhei/status/1706300627452649707?s=20
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