シンタロー

さらば愛しき女よのシンタローのレビュー・感想・評価

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)
3.6
レイモンド・チャンドラーの同名小説を、ロバート・ミッチャム主演で映画化。
私立探偵のフィリップ・マーロウは、銀行強盗罪で7年間服役していた怪力の大男ムースから、昔の恋人ベルマを探して欲しいと頼まれる。ベルマがかつて働いていたショーパブに向かう2人。そこはすっかり黒人の街に様変りしており、店主に襲われたムースは、逆に撃ち殺してしまう。マーロウはムースを逃がし、ベルマ探しを引き受けるのだが…。
転職、引っ越し、入院などが重なってしまい、久々にゆっくり映画鑑賞できました。母の大好きだったフィリップ・マーロウシリーズからセレクト。様々な役者が演じてきたマーロウですが、ロバート・ミッチャムについては賛否両論あったような気がします。70年代入った頃から老け込んでしまった感があり、芝居も体型も緩いなぁという印象。原作とも随分違うので、まぁマーロウの晩年?の設定として観るのが正しいのかな。次々と現れる登場人物と、連続殺人事件にあまり緊張感がなく、演出や音楽は妙に陳腐な感じで、B級感が漂うのですが、そこは原作の良さで何とか…ハードボイルドというよりは、気怠い雰囲気のフィルムノワールな趣きです。
若き日の名優ハリー・ディーン・スタントンが性悪の刑事役で登場していたり、ポルノスターからハリウッド転向したばかりのシルベスター・スタローンが端役で出ていたり、ちょっとおもしろい見所。怪しい娼館の女傑アムソー役の女優がすげー顔面破壊力で、ミッチャムとの殴り合いや不気味な高笑い等々、見事な怪演ぶり。そして美しすぎるシャーロット・ランプリングね!この妖艶な眼力と、体の曲線美は素晴らしい。野性的であり中性的でもある、唯一無二の存在感で、やっぱり好きだわ~なので加点。ただ、あまりにもオーラが強すぎて、出てきた途端、結末が読めてしまうという、ちょっと残念な事情も発覚でした。
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