ShinMakita

さらば愛しき女よのShinMakitaのレビュー・感想・評価

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)
3.8
☆mixi過去レビュー転載計画(ノンジャンル編)
…ここ10年で購入したDVD.Blu-rayのレビューです。



今回もあらすじが異様な長さ。飛ばしてくださいな^_^



〈story〉
春になって老いを感じ始め、今は7月。楽しみはジョー・ディマジオの連続安打記録更新のニュースだけ。私は安宿にこもり警察から身を隠している。だが、そろそろ警察のナルティ警部補に経緯を話す頃合いだ。ムース・マロイとの出会いの経緯を…

※※※

その大男と初めて会ったのは、家出娘を保護するためにダンスホールに出向いた時だった。私を探偵と見抜いたマロイは、銀行強盗で出所したばかり。何者かに命を狙われているらしいこの男は、ムショにいる間に音信不通となった恋人ベルマを探して欲しいと依頼してきたのだ。そこで、以前彼女が勤めていたというバー「フロリアン」にマロイと連れ立って行ってみたが、店は黒人の手に渡っており、当時を知るものはいなかった。苛立ったマロイが銃を取り出した店主をブチ殺して消えてしまうと、私は店の向かいにある安宿を聞き込みに回り、そこに昔の「フロリアン」でペットを吹いていたトミーが住んでいるのを聞き出した。トミーはベルマを忘れていたが、当時のオーナーはすでに亡くなり妻ジェシー・フロリアンが酒浸りで一人暮らしだと教えてくれた。翌朝、私がジェシーに会いに行くと、彼女はベルマを覚えていた。そしてトミーに連絡してベルマの写真も入手してくれるのだった。トミーは実は、ベルマをよく知っていたのだ。私はこの写真を元にショービズ界を当たり、ベルマがリンダと名を変え女優となったものの、精神を病んで6年も病院に収容されていることを掴んだ。なるほど、道理で音信不通になったわけだ。後日、黒人殺しで手配される身でありながら私に会いに来たマロイに、私は調査の結果を報告した。しかし彼は信じようとはしない。うんざりしてベルマの写真を見せると、マロイは「別人だ」と吐き捨て怒ってしまった。私はトミーに、偽の写真を掴まされたのだ。なぜ私を騙したのか。詰問しようとトミーを訪ねたが、彼は数日前から失踪してしまっていた。

その後、私に新たな依頼が舞い込んできた。マリオットという伊達男が依頼者で、〈友人〉が所有する翡翠が盗まれたのだが、犯人から買い戻すことができそうなので手を貸してくれというのだ。私はマリオットとともに翡翠窃盗犯との待ち合わせ場所に向かったが、そこで後頭部を殴られ気絶してしまう。目が覚めると、そこにはマリオットの死体が転がっていた。私は翡翠の持ち主を調べ、それが元判事グレイルである事を突き止めた。グレイルの妻ヘレンは、マリオットの〈友人〉であることは認めたが、翡翠は盗まれていないと話す。初対面でいきなり色仕掛けで迫るヘレンに疑問を抱き、私はグレイル宅を後にした。
事務所に戻った私を待っていたのは、娼婦を抱える裏社会の女傑アムソーの手下だった。私は拉致され、アムソーに薬を打たれ尋問される。彼女が知りたいのはマロイの居所だ。居所を知らない私は喋りようもなく、何とかアムソーの娼館を脱出する。私が薬を抜いて新しいシャツを着てシャキッとすると、タイミングよくヘレンからクラブに誘われる。そこには、町を牛耳るギャングのボス・ブルネットがいた。ブルネットは2000ドルという大金を私に掴ませ、マロイに会わせて欲しいと言ってきた。ベルマが見つからない限りマロイが姿を現すことはないだろうが、私は事態を動かすためにカネを受け取った。マロイって奴は、かなりの人気者のようだ。皆が彼を探している。目的は奴の命か?あるいは、奴が銀行強盗で手に入れたカネだろうか?唯一はっきりしているのは、マロイがベルマという女を本当に愛しているということだけだ…

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昔レーザーディスクで持っていたこの名作と、ついに再会できました。すべてがツボで、大好きな一本です。
粋なセリフを繰り出して、刑事たちにも強気で対応するマーロウ=ロバート・ミッチャム。やはり「大いなる眠り」よりこちらの方が圧倒的によろしい。タリア・シャイアの夫が書いた物憂げなスコアもいいし、時代再現度も高いし、ディマジオを巧く使ったラストシーンの余韻も素晴らしいし、雰囲気抜群です。そして、これぞファムファタール!と叫びたくなるシャーロット・ランプリングの妖艶さね。最高ですよ。無名に近い頃のスタローンや、血の気が多いハリー・ディーン・スタントンなどキャスティングも楽しいです。
確かに、ミステリーとしてはあまりエレガントではありません。マーロウの一人称で物語が進むので、想像で補完しなければならない部分も多いのです。例えば依頼人マリオットのクダリ。何故彼が殺されたのか、そもそも翡翠窃盗は本当にあったのかどうか、全く描かれていません。マリオットはベルマに操られマーロウに接近しただけかも知れないし、ジェシーから教わって、マーロウにベルマの正体を話そうとしたのかも知れないし、あるいはベルマを強請るつもりで、護衛としてマーロウを雇ったのかも知れません。…そんなわけで、謎は実はたくさん残るのです。でも、チャンドラーの小説ってみんなそうだから(笑)。基本、謎解きじゃないんですよ、ハードボイルドってのは。
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