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ザ・ビーチ・ボーイズ/アン・アメリカン・バンドのfmのレビュー・感想・評価

5.0
動画サイトが普及していない時代、ビーチボーイズの映像を観る手段は限られていた。
彼らの軌跡は萩原健太のライナーノーツなどで大筋知ってはいたが、視覚的に確認するなら、このビデオを参照するのが最適だった。
ここに映っているような映像はもうYouTubeなどで拡散されており、本作に今日的な資料価値はあまりない。
ゆえに再評価されることはないだろう。

亡くなる前の次男デニスが長男ブライアンの伴奏で歌う「You Are So Beautiful」はすべての映画の中で最もグッとくるシーン。
「Surf's Up」を弾き語りするブライアンも見所。

ところで、ブライアン・ウィルソンは天才ゆえに変人扱いされがちだが、個人的にマイク・ラヴはブライアンより変わった人だと思っている。
ブライアンが苦手としている作詞ができて、耳に残る短いフレーズを作らせたら天才的に上手い。
ブライアン的なファルセットを使える人はけっこういるけど、マイクのように軽妙な歌い方をできる人は少ない。
ステージで見せる謎ステップ、「Monster Mash」を歌う時の全力顔芸、実際の所どこまで吹けるのかわからないサックス演奏、何なんだよ。
典型的な西海岸の陽キャかと思いきや、マハリシ・ヨギのTMに激ハマりし、長年広告塔を務めている。
そのくせ政治思想はかなり保守的。
わけがわからん。
彼は彼で、頭の中に誰も解明できないブラックボックスがあるのだろう。

私の生涯ベスト1はこの映画なのだが、劇場で観た事ないし、DVDは実家に置きっぱなしなので、記憶があやふや。
再見してガッカリしたくないから、もう見返すことはない。
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