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最後通告の4423のレビュー・感想・評価

最後通告(1998年製作の映画)
4.0
満月の夜、12人の子供たちが忽然と姿を消した。彼らの共通点は共に10歳の少年少女であること、家が水辺にあること、ただそれのみだ。

本作は『灰色の領域』、『山の焚火』、『緑の山』などを手掛けてきたフレディ・ムーラーによるサスペンスファンタジーである。要するに神隠しの映画であるが、ムーラーの込めた強いメッセージ性だけが常に空回りし、ストーリーそのものの解釈は鑑賞者にお任せします、といったスタイルなので正直なところ消化不良感は否めない。この子供失踪事件のピリオドは好き嫌いが分かれるだろう。

ムーラーの目線は至って淡々としているが、時として鋭さをも垣間見せる。

子供たちだけの世界は手をすりあわせ、その手で目を覆えばいつだって覗けることが最初から示唆されているのだが、大人たちは「何をバカなことをしているの!」と一蹴する。子供に興味がない親。マスコミに踊らされ、金に釣られる大人たち。テレビの前で「(こんな事態になるなら)子供を作らなきゃ良かったんだ」と平然と言ってしまう恐ろしさ。こういった何気ない描写が積み重ねられ、大きなガラス片となりグサグサと突き刺さる。

「僕たちは地球の幸せを望みます。ママたちがそれを望まないのなら、地球は僕らなしに回るでしょう」

私はこの最後通告が恐ろしい。もともとはムーラーが娘から環境汚染問題について「大人は無責任のままでいいの?こんなに地球を汚して」と問われたことからインスピレーションが沸いたというが、これはいずれ大人になる全人類への永劫の最後通告だ。
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