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『消される男』に投稿された感想・評価

ukigumo09

ukigumo09の感想・評価

3.4
1967年のフィリップ・コンドロワイエール監督作品。この人はキャリアのほとんどがテレビシリーズの監督で、劇場用映画は初期に限られる。長編ともなると3本だけで、本作『消される男』は2本目。長編第1作は原作の絵本が有名なタンタンシリーズの『タンタンと水色のオレンジ(1966)』である。世界の飢餓を救う水色オレンジを奪われてしまったタンタンたちがスペインを舞台に活躍する冒険譚を実写で描いた作品であった。

第2作の『消される男』も舞台はスペインだ。しかし1967年のバルセロナを描いたこの映画にはサグラダファミリアやカタルーニャ公園などといったバルセロナらしいバルセロナは登場しない。代わりに人気のない浜辺やどこだか分らないようなアパート、死体を捨てるための採石場など荒涼とした裏のバルセロナが描かれるのが本作の特徴だろう。

冒頭から緊張感いっぱいのシーンで始まる。カメラは遥か前方に停まった車をフィックスで捉えている。そこから男が降り、おもむろに煙草に火を点ける。男はなにかに気付いたのか煙草をくわえたままこちら(カメラの方)に歩いてくる。男は停まっているミニバンのところまで来ると運転席や助手席に誰もいないのを確認し、車の後部に回り込む。すると中から2人が飛び出し、1人は走って、もう1人はミニバンで追いかける。男は逃げ出すものの、ミニバンにひき殺されてしまう。

なにが行われているか説明がないまま死体は車で採石場に運ばれ投棄される。ミニバンの2人の中の1人がラファエル(ジャン=ルイ・トランティニャン)という男で本作の主人公である。彼が仲間のところにもどり、その会話から次第に状況が分かってくる。彼らは元ナチスの将校シュミットを追っているのだ。当然標的は名前を変え、事によると整形手術で顔も変えている可能性があり、なにより20年以上の歳月が整形以上に姿形を変化させていると思われるので、かなり困難な任務である。

彼らはターゲットと思しき人物に接近しその人物と交流のある者まで含めてカメラで盗撮していた。彼らはそれを再生しながら特徴などを分析している。冒頭のシーンもその盗撮の最中であったのだ。

シュミットと同じく吸い終わった煙草を粉々になるまで踏みつぶす癖を持つ男の部屋への侵入場面は、この映画で最も緊張感が高まるところだ。ラファエルの仲間のジュリウス(ルイス・プレンデス)はシュミットらしき人物が外出中にその部屋に忍び込む。ラファエルたちは向かいのアパートや道路でトランシーバーを持って待機している。

ジュリウスの仕事は電話口に盗聴器を仕込むことだがなかなかうまくいかず、外にいる仲間たちは焦らされる。盗聴器が仕込めてもジュリウスは部屋を出る様子がない。ほかにも証拠となるものはないかと部屋を物色しているのだ。そうこうしているうちに帰宅してきたシュミットらしき人物が部屋へと戻っていく。

仲間がトランシーバーで知らせるが、もう外に逃げる時間はない。おそらくクローゼットにでも隠れたのだろうがカメラはラファエルと同じように外にいるので中のことを想像しながら待つよりほかない。その部屋の電話が鳴る。シュミットらしき人物が電話に出ると音声が聞き取れる。ジュリウスの盗聴器が機能しているのだ。

電話の相手は3分前(ジュリウスの作業中)にも電話を掛けたが話中だったと指摘する。そのときはまだシュミットらしき人物は外にいたので、それがきっかけでバレるのか、と次々とスリルが連続してやってくる。侵入した仲間が危機に陥り、それを見ることができながら助けることができないというのはヒッチコック監督の『裏窓(1954)』方式のサスペンスの作り方で非常に成功していると言えるだろう。

本作でのジャン=ルイ・トランティニャンはほとんど待つ、耐えるということに終始するのだが、その佇まいが素晴らしく、おそらくそこが評価され、ベルリン国際映画祭では男優賞を獲得している。『男と女(1966)』の翌年ということでトランティニャンとしては絶好調というべき時期である。海外でも本作をトランティニャン出演作の忘れられた秀作などと形容されることがあるようだが、忘れるにはもったいないポリティカルサスペンス作品だ。