Jeffrey

テンペストのJeffreyのレビュー・感想・評価

テンペスト(1979年製作の映画)
3.0
「テンペスト」

冒頭、幻想的で神秘的な映像の連続。ナポリ王アロンゾ、ミラノ大公アントニオの乗る船が嵐に巻き込まれ難破、島に漂着、12年前の出来事、地位剥奪、追放された兄、プロスペロー、娘ミランダ。今、シェイクスピアの戯曲が映像化される…本作はデレク・ジャーマンがウィリアム・シェイクスピアの同名の戯曲を1979年に監督、脚本を務め映画化した作品で、昔レンタルで見たが、今回BDボックスが発売され久々に鑑賞したが、凄い映像である。本作は美と幻想のアーティストとして映画への挑戦を続けてきたジャーマン監督が、世界の文豪シェイクスピア晩年の1611年に発表した戯曲テンペスト(あらしとも訳される)を映像化したもので、原作に忠実なセリフ、独創的な映像でシェイクスピアの作品世界を格調高きジャーマン映画として再構築して見事に蘇らせた決定的傑作として評価されている。魔女や妖精、怪物が登場し、策略と陰謀、恋と冒険、復讐と和解が、超現実的幻想シーンと共に展開していく。本作の影響から、以降ポール・マザースキー監督やピーター・グリーナウェイ監督によって原作の映画がなされた。

さて、物語はナポリ王アロンゾ、ミラノ大公アントニオの乗る船が嵐に巻き込まれ難破、島に漂着すると、そこには12年前にアントニオによって地位を奪われ、追放された兄プロスペローとその娘ミランダが暮らしていた…と簡単に説明するとこんな感じで、ジャーマンによる脚色が見事に蘇らせた文豪シェイクスピアの晩年の傑作だと思うが、楽しい映画でもない。といっても美と幻想の映像はすごいインパクトがある。魔女や妖精、怪物が登場したり、どこかしらおとぎ話もしくはファンタジー映画のようで、多くの人々や貴族たちによる運命的なドラマが繰り広げられるエピソードもあれば、夜の海辺のシーンなど、ブルーの世界が展開する一方で、ラストは、ミュージカル仕立てになったり、歌手、女優のエリザベス・ウェルチが女神として登場したりもする。いろいろな展開がジャーマンとシェイクスピアが見事な融合を成し遂げたと言うのは誰しもが思う。
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