Jimmy

野望の果てのJimmyのレビュー・感想・評価

野望の果て(1947年製作の映画)
3.8
貧しい家庭に生まれた男が、人を金儲けの手段として利用しまくった挙句の「なれの果て」を描いたエドガー・G・ウルマー監督作品🎥

DVDジャケットには「無情な男の人生が、リアルなタッチで描かれたフィルム・ノワール」と書かれているが、映画を全体的にノワールの雰囲気が漂っているわけではない。
野望に燃える男の生き様を描いたドラマである。

「彼は操られていたのよ。自らの野望に…」というセリフが、本作を的確に表している。

冒頭、富豪の邸宅でのパーティ場面から始まり、まずはある女性の幼い頃の回想シーン「ボートが転覆して溺れた少女を助ける少年」…少年は若き日のヴェンティグ。この少年の家はとても貧しくて、母親と二人暮らし。父親は別の所に別の女と住んでいる。その回想シーンで少年は家出して、命を助けた少女の裕福な家で育てられて青年になる。青年となったヴェンティグを演じるのは、ザカリー・スコット。
そして、青年は高卒で働いて2年経ったところで「ハーバード大学に入りたい」と育ての父親に言う。ヴェンティグは、その家の娘(=溺れたのを助けた娘)のフィアンセ的存在となっている。そして、ハーバード大学へ通うようになるヴェンティグ。
すると、今度は「株取引き」に策略を張り巡らし、またもや「株式界の大物の若い妻」を利用して、大物との闘いに勝利。その妻と結婚して自分の妻とする。
更に……といった感じで、貧しかった少年が青年となり、ノシ上がって行く様を描いているが、当然、ヴェンティグにやられて一文無しになった男の恨みを買う。

非情な主人公ヴェンティグの「野望の果て」は、冒頭のボート転覆とは異なるかたちでの「水難」となっていくわけだが、本作の出演女優であるルイス・ヘイワード、ダイアナ・リンなどは悪くはないが、インパクトに欠けているのが惜しい。
まぁ、本作での女性は利用される立場の女性ばかりなので、悪女が必要ではないので無難なキャスティングになったのかも知れない。

「成り上がりの野望の果て」を描いたなかなか面白い映画であった。
Jimmy

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