daiyuuki

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

3.8
バルセロナのマンションで住み込み管理人として働く冴えない四十過ぎの男・セサル。
周囲には親切に接する彼は特に住人の美女クララに目を懸けていた。
今日も帰宅したクララは、ベッドに横たわり寝息を立て始める。
彼女が寝静まるのを伺いながらベッド下から息を潜め、這い出てくるセサル。
彼は毎夜クララの部屋のベッド下に潜み、彼女との時間を共有していた。
セサルの喜びは、クララの笑顔を見つめることではなく、むしろ笑顔を奪い絶望の底に落とすことにあった。
クララを絶望に突き落とすための悪意に満ちたゲームが、始まる。
これもいわゆる「ホーム・インベージョン」ものにストーカーものを組み合わせた極悪サスペンス映画。
朝起きる気力や生きる気力もなく、人生の何に喜びを見出だせば良いのか分からないセサルは、いつも笑顔のクララに喜びを見出だした。
ただし笑顔ではなく、笑顔を奪い苦しみ悶え絶望に歪む顔に喜びを見出だしたいのだ。
ヘドロのように腐った自意識と違い、表向きにはマンションの住人に親切にするセサルの狡猾さ。クララが使っている化粧品などにアレルギーを起こす異物を混入させたり、部屋中にゴキブリをはびこらせるなど段階を踏んでクララに嫌がらせをするセサルの偏執狂的な底意地の悪さ。
そして最後に明らかになるクララを絶望の底に落とすセサルの仕掛けが明らかになるクライマックスは、セサルの人非人な外道ぶりが剥き出しになるヘドが出そうな結末です。
心からイヤな気分を味わいたい人のみに、覚悟して見てもらいたいサスペンス映画です。
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