千年女優

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qの千年女優のレビュー・感想・評価

2.5
使徒に捕食されたレイを救い長い眠りから目覚めた碇シンジ。様変わりした世界では、ゲンドウのNERVと反NERV組織「ヴィレ」が対立。ミサトやアスカの制止を振り切ってレイのいるNERVへと移った彼が、14年前に自身が起こした「ニアサードインパクト」と世界の変動を知り、カヲルと共にエヴァ搭乗を決意する様を描くSFアニメ映画です。

新劇場版三作目というより三回目のやり直しとも思える本作ですが、よく言われるように『僕がやっちゃったから...』⇒「これをすれば戻る」⇒『本当に大丈夫?』⇒「何かおかしいよ、やっちゃだめだ」⇒『やれって言ったじゃん、僕はやるよ』⇒「やっちゃったね」⇒『僕がやっちゃったから...』の作劇は稚拙と言うよりシュール過ぎます。

政治に振り回された世代の権力への反抗としての『ガンダム』、政治ではなくラブ&ピースの文化が世界を救うという『マクロス』らの世情を背景とするSFロボット戦記の系譜としてのクオリティーを放棄していますが、むしろそれは背景ではなく全てなのだとする庵野監督の決意表明とも取れ、そうまでして描きたいものに興味沸く一作です。
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