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欲望の翼のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
3.3
1960年の香港を舞台に、若者たちの擦れ違いの恋愛模様を描いた群像劇。
ウォン・カーウァイ監督が世界的な注目を浴びる契機となった二作目で、クリストファー・ドイル撮影によるスタイリッシュな映像、詩的なモノローグなどウォン監督のスタイルが確立された作品。
原題:阿飛正傳、
(英)Days of Being Wild (1990)

1960年4月16日、深夜の香港。
サッカー競技場の売店の売り子スー(マギー・チャン)は、遊び人風のヨディ(レスリー・チャン)からキザなセリフで口説かれ最初は断るが、やがて愛するようになる。
だが、結婚を望まないヨディはクラブのダンサーのミミ/ルル(カリーナ・ラウ)と付き合い始める。
傷ついたスーを見かけて慰めた警官(アンディ・ラウ)は、スーに惹かれるが…。
さらに、ヨディの親友(ジャッキー・チュン)もミミに一目惚れしていた。
やがて、"実の母親はフィリピンにいる”と養母レベッカ(レベッカ・パン)から告げられたヨディは、ミミも捨て、実母に会いにフィリピンへと旅立つ…。

"電話ボックス"
"車"
"パスポート"

その他の登場人物
・ギャンブラー(トニー・レオン)

「夢で会おう」
「夢で会えなかったわ。
眠れてないな?」

「1960年4月16日、3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。この事実は否定できない」

「私を愛したことある?
誰を愛したかなんて忘れたよ」

「彼を忘れるには、あの最初の1分から全て忘れないと」

「脚のない鳥は飛び続け、地上に降りるのは死ぬ時だけ。鳥は最初から死んでたんだ」」(←テネシー・ウィリアムズの戯曲「地獄のオルフェウス」から引用された"どこにも着地できず、死ぬまで飛び続ける脚のない鳥")

実母がいたと知ったことがレスリー・チャンの人生に影を落としています。
そして、養母がアメリカに去ろうとした時、実母のことをなぜずっと語らなかったのかが分かります。
ラストにあまり関係脈絡のなさそうなシーンを入れ、観客の想像力を煽るのはこの監督の趣味。
会話はまだちょっと思わせぶりな感じがしないでもない。
作品の見どころは、暗い夜の雨のシーンなどの見事な映像。ドイルのカメラワーク。
カーウァイ監督はこの後、ドイルと共に「恋する惑星」「花様年華」でさらに自分のスタイルを極めていきます。
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