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エイリアン4のトルーパーcomのレビュー・感想・評価

エイリアン4(1997年製作の映画)
3.0

#エイリアン4
原題は『 Alien:Resurrection 』
Resurrectionは「復活」の意で、新たな能力を得て復活したリプリーのことをあらわしている。
(そういえば2021冬公開のマトリックスの最新作も『The Matrix Resurrections』だ。)

前作の200年後、クローンとして「復活」させられたリプリー。
5年ぶりに公開されたシリーズ4作目、エイリアンの力を得てチートキャラと化したケンシロウ的なリプリー無双。

個人的に「3」がけっこうきつかったので、ここまで振り切ってくれた本作はトンデモだけどアリです。

今作は仲間キャラの個性もあるし、エイリアンの能力や戦法もバリエーション豊かになっており、楽しけりゃいいんだろ的な人気大作映画と割り切った作りは評価できる。


<以下、ネタバレありでいくつか>




■泳ぐエイリアン
公開時「今度のエイリアンは泳ぐ!」の宣伝文句。これは期待感ワクワク感が止まらない。
泳ぐエイリアン/罠をはるエイリアン/仲間を殺傷し、噴き出した酸性の体液で床を溶かして逃走するエイリアン。
ホラー感はだいぶ薄れた感があるが、なかなかバリエーション豊かな描写で楽しかった。

最後の「ママ...ドウシテ...」的なニューボーンは見ていて悲しくなり...ませんでしたねやっぱり。物語的な悲しさ悲劇性よりも、「エイリアンは殺さなきゃ」の感情が勝ってしまった。


■失敗作
全体としては恐怖やグロさよりも楽しさ重視な印象だけれど、クローンの失敗作シーンはエグすぎる。
「殺シテ...」

序盤のクローンリプリーって、人の心がもはやないんじゃないか的な印象で、主に仲間キャラ目線でずっと見ていたんだけれど、ここは感情が爆発して良いシーンだった。
本当に恐ろしいのはエイリアンよりも人間なのだ的なメッセージはベタではあるがまあ盛り上がる。

シガニーウィーバーは20年近くにわたってリプリーというキャラを演じてきたけれど、本作のキャラ設定はぶっ飛んでいるので、心なしか演者さんもウキウキで演じているように見えます。

リプリーがそんなことするなんて...なシーンが多いので、これは受け入れられないっていう人も多いみたいですが、個人的にはけっこう好きです。だってもう半分エイリアンなんだもの。

ただ、半分エイリアンなリプリー/半分人間なニューボーン/美しすぎるロボット/個性豊かな人間キャラたち、とそろってしまったため、肝心のエイリアンがいちばん存在感薄くなっていたような気もする。


■車椅子の男(ドミニク・ピノン)
「1」で猫「2」で少女という、思うように移動できない守られキャラの存在が本シリーズのスリルを増していたが、「3」では守られキャラ不在が痛かった。
今作では愛すべき車椅子男の登場が秀逸だったと思う。ハシゴぶらさがりの一連のシーンが個人的本作のベストシーン

■コール(ウィノナ・ライダー)
初めて観たときは、こんな美人っているんだなあ...と思った記憶。
はい、そうですね。やはり人間ではなかったと。演者のビジュアルで設定に説得力ありすぎ

■ジョナー(ロン・パールマン)
『パシフィック・リム』(2013)のハンニバル・チャウの人。
エイリアンシリーズで屈強オラオラ系男性キャラという時点で派手に死ぬ予感しかしないけれど、想定外の大活躍を見せる良キャラ。
この人、大作映画の脇役でちょいちょい見るけど、強面なのになんだかホッとさせてくれる雰囲気があってけっこう好きな俳優さんです。

■冒頭のアクション
全体的に人間キャラはけっこう個性あったと思いますが、序盤の「テロリストは処刑だな」からの集団アクションシーンがなんだかもっさりしていて萎えでした。マトリックスとかと同時期の映画だよね?
もうちょっとなんとかならなかったのかなあ。ここは大きな減点


【スコア】
★3.0で。
初期作がもっていたスリルは失われてしまっているけれど、前作と比べるとだいぶ盛り返したかなという印象。
今回、ディズニープラスで観られるようになったのでシリーズ連続で観ているのですが、3と続けて観るとだいぶ印象がよいです。

エイリアンシリーズの面白さは、主人公以外のキャラが立っているかどうか/死に様の描写が印象的か、にけっこう左右される気がする。
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