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ルシアンの青春のpluviaのレビュー・感想・評価

ルシアンの青春(1973年製作の映画)
4.0
承認欲の塊のような彼は劣等感が強く、望むように認められなければ暴力的になる。日に日に(虎の威を借る狐)ナチスの意を借る愚人となり、善悪を没却して影響力と力の拡大で欲しいものを得ていく。

ナチス占領下のフランス片田舎。パリから疎開してきた美女に好意をもった青年が、ナチス協力者としての地位を誇示することで彼女を得ようとするストーリー(と思いました)。

主人公の田舎者の青年は、無教養で垢抜けていない。シャンパンの栓をあけた時には、子供が初めてラムネのビー玉をあけた時のような純粋な喜びが一瞬顔に出たのが印象的です。
パリ育ちの彼女の目からすると、こんなガサツなボーイフレンドなんて冗談じゃないくらいの相手でも、彼女の父親は、このタイプの人間を拒むと厄介であると承知している。ユダヤ人であることからも彼には逆らえず同居することになり、そして…。


好き嫌いではくくれない秀作だと思うので、もっと多くの人の目に触れる機会があると良いなぁと思います。
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