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やさしいライオンのMOCOのレビュー・感想・評価

やさしいライオン(1970年製作の映画)
5.0
「ブルブル、走れ!」

 たしか小学4年生の時、文部省選定映画として学校の講堂で観ました。
 すでに「大魔人」「ガメラ」「ゴジラ」などを映画館で観ていた私は「今更こんな子供向けの映画は見たくな〰️い。こんな映画観るのはずかし〰️。」そんな気持ちで席に着いたのですが見事にはまりました。涙が溢れそうな顔を見られたくなくて必死でした。
 あれから50年近く「ブルブル、走れ!」のセリフとボニージャックスの歌声を聴きたくて、ずっとずっと映像を探していたのですが、3年ほど前に手塚治虫のプロジェクトの一つとしてリニューアル販売されていたのを今年になって知り、慌てて購入しました。
 絵本に比べると、多少脚色がありますが邪魔にならない程度の捕捉です。
 私はずっと普通の動画と思い込んでいたのですが、時々静止画時々動画で、絵本を観る感覚の映画です。それがまた新鮮です。映画はお母さんが小さな男の子に絵本を読む形ではじまり、時々男の子がお母さんに質問しなが進んでいきます。

 ある国の野外動物園にみなしごのライオンがいました。いつもブルブルふるえていたのでブルブルという名前でした。
 一匹の雌犬がブルブルのお母さんの代わりをすることになりました。むくむく太っていましたからムクムクという名前でした。
 ブルブルはムクムクに育てられやさしいライオンになりました。そしてどんどん大きくなりブルブルはりっぱなライオンになったのですが、自分の姿がムクムクと全く違うことに驚きます。

 ブルブルはサーカスの一団へ移されることになりブルブルとムクムクは離れ離れになり、何年かたち犬のような芸をするライオンのブルブルはサーカスの人気者になっていました。
 ある冬の夜ブルブルは遠くの方で子供の頃にムクムクが歌ってくれた子守唄を聞きます。

 おかあさんだ!「わん」と叫ぶとブルブルはものすごい力で何度も何度も檻に体当たりをして、血だらけになって檻をやぶり飛び出しました。

 ムクムクの元に一直線に走るライオンに人々は驚き大騒ぎになり、ライフルを持った警官隊が後を追いかけます。

 町外れの白い雪の丘でブルブルはすっかり年を取って今にも死にそうになっている痩せたムクムクを見つけました。その時、警官隊の隊長は「打て!」と命令しました。

 撃ってはいけないのに・・・
ブルブルはとても優しいライオンなのに・・・

 その夜、年寄りの犬を背中に乗せたライオンが飛んでいくのを見たという人が何人もいました・・・。

 おそらくまだ「アンパンマン」は生まれたてで、やなせたかしさんもメジャーではなかった頃の童話です。
 私は思い入れだけで☆5つですが、今も販売している絵本のお話しですから小さなお子さんには間違いなく☆5つの良いお話です。
 
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