台湾を舞台にした若者たちの群像劇。
邦題はなぜか監督の名前に「恋愛時代」だけれど、原題は「獨立時代」
英題は「A confucian confusion」
意味は「儒教の混乱」
1990年代の台湾。
1987年に戒厳令が解除され、徐々に民主化を享受し市場経済でも成長を遂げ豊かになった。自由もある。
そうすると、人はどうなったのか。
論語の文脈などを挟みながら、コミカルで辛辣に若者たちの生き方や思考、行動を描いています。
豊かになっても自由になっても、むしろだからこそなのか、彼らは常に迷子のようです。
会社や家族、友人や恋愛関係など様々なしがらみに囚われて、自分の気持ちさえわからない。
損得勘定や自分勝手な寂しさで、手っ取り早く解決を求めるので全然解決しない。
それどころか、誤解やすれ違いにより余計な問題を増やしてしまう。
悩みにもがく姿は、私たちが目指したものだったのか?
エドワード・ヤンの客観的な時点で、激動する当時の台湾が如実に表現されています。
登場人物が多く、最初から会話の応酬で情報量もとても多い。
単に誰と誰がひっついた、和解した、決別したなどを見せるドラマではないですが、ともすればダサくなりそうな描き方。
それなのに、こうも集約されるのは脚本のうまさでしょうか。
ラストシーンが本当に素晴らしい。