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エドワード・ヤンの恋愛時代のmajiziのレビュー・感想・評価

4.0
台湾を舞台にした若者たちの群像劇。

邦題はなぜか監督の名前に「恋愛時代」だけれど、原題は「獨立時代」

英題は「A confucian confusion」
意味は「儒教の混乱」

1990年代の台湾。
1987年に戒厳令が解除され、徐々に民主化を享受し市場経済でも成長を遂げ豊かになった。自由もある。

そうすると、人はどうなったのか。

論語の文脈などを挟みながら、コミカルで辛辣に若者たちの生き方や思考、行動を描いています。

豊かになっても自由になっても、むしろだからこそなのか、彼らは常に迷子のようです。

会社や家族、友人や恋愛関係など様々なしがらみに囚われて、自分の気持ちさえわからない。

損得勘定や自分勝手な寂しさで、手っ取り早く解決を求めるので全然解決しない。
それどころか、誤解やすれ違いにより余計な問題を増やしてしまう。

悩みにもがく姿は、私たちが目指したものだったのか?

エドワード・ヤンの客観的な時点で、激動する当時の台湾が如実に表現されています。

登場人物が多く、最初から会話の応酬で情報量もとても多い。

単に誰と誰がひっついた、和解した、決別したなどを見せるドラマではないですが、ともすればダサくなりそうな描き方。

それなのに、こうも集約されるのは脚本のうまさでしょうか。

ラストシーンが本当に素晴らしい。
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