はる

陽炎座のはるのレビュー・感想・評価

陽炎座(1981年製作の映画)
5.0
どうしてこんなに面白いのか。恐らく話半分も解釈出来ていないかもしれないです。しかし他では味わえない強烈な体験をしたように思います。
少し前に『ツィゴイネルワイゼン』を観てそれがとても衝撃的だったんですが、大正浪漫三部作の二作目に当たる本作も素晴らしいものでした。
今自分が観ているのは夢なのか、あの世なのか、生と死の曖昧な境界線を妖しい美しさが照らすあまりにも心地の良い時間でした。
松田優作の抜け殻のような演技と大楠道代の妖艶な美しさ。特に大楠道代さんがかわるがわる鮮やかなお着物で登場する度にため息が出るようでした。
水のカットや背景の美術画、そして鬼灯。六道の辻である陽炎座に松田優作が足を踏み入れてからは益々美しいカットの連続で本当に感動しました。女の情念とはかくも恐ろしくも美しい、観終わってからというもの私もあの松田優作のようにフワフワした気持ちです。
はる

はる