5月24日は、今年亡くなられた鈴木清順監督のお誕生日。
存命ならば今日で94歳に。
そのキテレツな"清順美学"が原因で日活から干され、その後「ツィゴイネルワイゼン」で再び魅せた"清順美学"が今度は世界的に評価されたことで、見事華々しいカムバックを果たした清順さん。
"昭和デカダンス"とも云うべき手法で日本のバブル時代に大正浪漫を描いた清順さんですが、
早くも「ツィゴイネルワイゼン」の翌年に発表した本作はそのエッセンスを更に難解なものに仕上げた意欲作です。
主演に松田優作を迎え、この世のあの世の間を彷徨う霊(たましい)の幽玄世界を映像化。
冒頭から始まる橋はあの世とこの世の界を表し、長い石階段、病院、そして川と、段階的に冥土へと迷い込みながら、
女の情念に翻弄される男の夢幻体験を映し出します。
復讐は女の舞台。そう、これが陽炎座。
何よりもまず「イメージ」を大切にする清順さんの心意気には痺れるし、松田優作が尊敬し続けた俳優・原田芳雄との共演はなんとも粋なんでございます。
そして本作で一番抱きてー！ってなるのは、大楠道代でも楠田枝里子でもなく、加賀まりこ様。
