千年女優

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序の千年女優のレビュー・感想・評価

3.0
未曾有の大災害「セカンド・インパクト」で世界人口の半分が消失した世界を舞台に、父の碇ゲンドウから呼び出され第3新東京市に赴いた少年・シンジが、特殊機関NERV所属の葛城ミサトの指示の下で謎多き少女・綾波レイと共に襲来する謎の生命体「使徒」を汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗って撃退する様を描いたSFアニメ映画です。

90年代を象徴する程の盛り上がりを見せたアニメシリーズは観た各々が様々な解釈が出来る作品ですが、大分すると二つの大きな魅力が人を惹きつけました。一つが斬新で奇抜な演出と推進力ある伏線が散りばめられたSFロボット戦記、もう一つが(特に内省的な)若者の欲求を満たす「選ばれし者の不安と恍惚」を描く物語としての一面です。

中盤までは抜群の相性を見せながら帰結段階で其々に手に余る膨張を招いた結果、庵野監督は後者の主題を優先し、TVでは現実"への"逃避を、旧劇場版では現実逃避を描いたわけですが、新劇場版でははてさて。少なくとも画が洗練され意味深な改変があってもシリーズ序盤のダイジェストでは、SFロボット戦記としての魅力は減退しています。
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