垂直落下式サミング

四人の無頼漢の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

四人の無頼漢(1961年製作の映画)
3.8
凶悪な4人の無頼漢の襲撃を受けて、大金と娘を奪われてしまった町へと呼び寄せられた凄腕ガンマンのオーディ・マーフィが、追跡隊を編成してこれを討たんとする西部劇。
夜中に、無頼漢たちが酒場にやって来るところからはじまる。ライフルをかまえながら店に入っていって、客や店主を脅かす暴虐無人な悪党たち。
たった四人で、小さい町のサルーンごときを占拠して何をいい気になってんだって思ったが、保安官を騙し討ちしておいてから、戸口に立たせた人質に自分達の要求を伝えさせて、外の人間がそれに従わなきゃその場でそいつを殺す作戦!けっこう現実的なプランだ。
思い通りにならないからって、なんの躊躇いもなく引鉄を引くショッキングさは、脅しにはもってこいのハッタリだった。アウトロー流ネゴシエーション術その1は、意思の強さと行動力を相手にみせつけて考える余地を与えないこと。
これほどの悪人を追うのに、追跡部隊の面々は烏合の寄せ集めっぽくて不安になる。特にそれぞれが仲好くはないし、間違っても優秀なやつばかりではないが、悪者を許さないと各々が正義感によって、とりあえずは繋がっているのは素敵な気がした。
勇気と無謀を履き違えた元軍人の老人と、本当は戦いたくないけど上司に啖呵を切ってしまった銀行員の若者、娘をさらわれたアル中の叔父、やっぱり有能なインディアンのガイド、あと町のバカたち。
それぞれが、しっかりと足を引っ張るか、しっかりと活躍する。有能か無能か、勇気があるかないか。果たしてどちらか。
率いるは、やさぐれオーディ・マーフィ。けっこう口が悪くて、他人のことは信じない。でも、本人の前で先住民の悪口を言うやつはぶん殴る侠気の人である。
大部分がセット撮影ぽいので、ガンアクションはおとなしくなっているが、荒野を舞台にしたロケーション撮影の銃撃戦では本領を発揮。腰を屈めながら移動し、ライフルを杖のように扱って体制を支えたりするのは、もうプロの所作なんよ。
別段正義感が強くはなさそうな都会育ちの青年が、乗馬経験が浅い故に肩や腰を痛めながら、弱音を吐きつつも最後の最後までついてくる姿に胸が熱くなる。お前は、ジョン・サクソン!若い!坊っちゃん顔過ぎてわからなかったぞ!
死ぬ前に悪態をつく無頼漢は、若き日のリー・ヴァン・クリーフ。でも別に彼である必要はない役割。顔が悪人顔ってことで出番がもらえているのかな。