かなり悪いオヤジ

ギフトのかなり悪いオヤジのレビュー・感想・評価

ギフト(2000年製作の映画)
3.6
こういう映画を掘り出し物というのだろう。アメリカ南部の田舎町を舞台にしているスピリチュアル・ホラー作品に、なぜか大物スターたちが大集結しているからてある。ケイト・ブランシェット、キアヌ・リーブス、ヒラリー・スワンク....ケイト・ブランシェットは『エリザベス』で、ヒラリー・スワンクは『ボーイズ・ドント・クライ』でオスカー主演女優賞を獲得したばかりだし、キアヌはマトリックス3部作撮影の合間をぬっての出演だ。こう言っては監督のサム・ライミに失礼なのかもしれないが、こんな小作品に出演するためにスケジュールをわざわざ空けたスターたちの意図の方にむしろ興味がわくのである。

キアヌは後に、本作に出演したことが後の俳優人生にとって大きな刺激になったことをインタビューでこたえていたが、本ホラーで有名俳優たちが演技合戦を繰り広げている様は見応え十分だ。未来を透視できる才能を授かったアニー(ブランシェット)の家に夫のドメバイ相談にやってきたヴァレリー(スワンク)を連れ戻しに、ドニー(キアヌ)が怒鳴り来んでくるシーンが印象的だ。普段は正義のヒーロー役が多いキアヌがこれでもかと乱暴にドアをあけ、髪の毛をひっつかまれたスワンクが金切り声を上げる。その後を追うブランシェットが引っくり返ったペンキに滑って、ピンクのパンティが一瞬丸見えになるのである😋

そんなビッグネームの気合いの入った演技に負けじと、脇役陣も存在感をみせている。被害者役のケイティ・ホームズは豊乳も顕に小悪魔ぶりを発揮、アニーの元顧客役ジョバンニ・ヴァレシが自殺願望のある病み男を迫力たっぷりに演じれば、アニーの息子が通う小学校校長グレアム・キニアのいい人ぶりがなんとも怪しげなのである。聞けば、主人公の霊媒師は本作で脚本を担当しているビリー・ボブ・ソートンの実母がモデルになっているらしく、実際超能力者でもあるそうなのだ。マジで。

ケイティ・ホームズ演じる尻軽女の失踪事件協力を求められたアニーが見事に死体遺棄の場所を言い当てるのだが、裁判における証言の信憑性が疑われアニーは“魔女”の烙印をおされてしまうのである。真犯人から命を狙われるアニー。ところで“ブルーダイヤを見てはいけない”と謎の発言を繰り返すバディとは一体何者だったのだろうか。アニー一家がピンチに見まわれる度にどこからともなく現れるバディは、もしかしたら亡き夫の霊がプレゼントしてくれた“ギフト”だったのかもしれない。