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感傷的な運命のciardiのレビュー・感想・評価

感傷的な運命(2000年製作の映画)
3.9
フィリップ・ガレルの新作『つかのまの愛人』公開と連動した企画「愛の力学 “彼と彼女と彼” あるいは “彼女と彼と彼女”」の目玉作品のひとつでしょう。40分ほど前にシネマヴェーラに着くと、既に60名弱に行列が出来ておりました。アサイヤスには『冷たい水』など、こういった企画でしか上映されたことのない作品があるので、今回たまたま私も観る機会を得て僥倖でした。
さて、作品は3時間の大河ドラマです。なかでも出色は舞踏会シーンでしょう。くるくる回るエマニュエル・ベアールは間違いなく美しいし、ぐいぐい動くエリック・ゴーティエのキャメラも、気持ちよく繋がれています。このシーンの素晴らしさは、終盤にふたたびこの映像が使われていることからも伺えます。
というかこの作品、全編にわたってベアールの美しさが際立っています。どこか陰りを帯びた魅力だけでなく、川遊びのシーンなど、とびきりの明るさをもってこちらの胸をグッと掴んできます。それらを愛でられただけでとても充実の180分でした。
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