まりぃくりすてぃ

キツネとウサギのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

キツネとウサギ(1973年製作の映画)
3.8
何年か前、私は近所の小さな郵便局に入った。入り口あたりで、幼稚園児ぐらいの男の子二人と、その片方の母親が、話し合っていた。男の子二人はその日喧嘩したらしく、若い母親は穏やかに両者の言い分を聴いてあげていた。
やがて相手の男の子は「…ごめんね」と少し泣きそうに言った。
若い三十代半ばぐらいの母親は「謝ってくれてありがとう。明日もまた一緒に遊んでね」とその子を抱きしめ、二人を握手させた。

子供同士が喧嘩している時、それが一方的に見えたとしても、負けている片一方に「ほら、これをぶつけなさい。あなたを応援してるからね」と石を手渡す大人がいるだろうか?
まず、体を張ってでも、いったん取っ組み合いをやめさせる。次に、両者の言い分を、穏やかに根気よく聴く。
それができてこそ大人だ。やめさせる力もないのなら、黙って自分自身だけを呪っていればいい。

戦争は、すべて、母性という命懸けの性をバカにするガキ(か獣)の喧嘩。見てる者までガキの仲間入りするのは、ちょっとNG。
「ウクライナ頑張れ! プーチン死ね!」と心から言えてしまう人、頭大丈夫ですか?
反戦平和主義者なら、そして知ろうとすることを諦めない真人間なら、コンゴ内戦やシリアやソマリアやパレスチナ等々に当然傷つきつづけるはず。イラク戦争を仕掛けた者たちを何十年経とうが免罪しないはず。非人道的ヴェルサイユ体制と世界恐慌こそがヒットラーを生み出した、という蓋然性100に近い歴史の必然も理解済みなはず。

1951年、イランで国民の圧倒的支持を得ていた非宗教のモサデク政権が、米英に支配されていた石油の国有化を宣言。53年にCIAと英秘密情報部がイラン国内にクーデターを起こし、モサデク政権崩壊。
1970年、チリで自由選挙による社会主義政権(アジェンデ大統領)が世界史上初めて誕生。ニクソン米大統領の指示でCIAが陸軍総司令官ピノチェトを操って73年にクーデター。全国民の幸福をまがりなりにも願った社会主義政権崩壊。
2009年、日本で(最後の公正な?)選挙により自民党を破った鳩山政権が、米国防総省に逆らう二つのささやかな改革を行おうとした(米から日への公式命令書である「年次改革要望書」の廃止/普天間基地移設)。そしたら在日米軍の支配下にある日本の官僚・大手マスコミ・検察・財界からの冤罪でっち上げの総攻撃により、翌年に政権終了。(年次改革要望書は、菅直人という短気で泥臭い政治屋さんが呼称だけ変えて復活させちゃった。)事実上の無血クーデター。マスゴミに洗脳されたままの(世界的に類例をみない)羊国民の七割は、未だに史実の真実に気づかず。
2014年、ウクライナで民主主義選挙により誕生したヤヌコヴィッチ政権(政策は親露)が、選挙以外の直接行動により崩壊。その “暴力的革命” は米国によって導かれたもの。バイデン副大統領(当時)が米本国から、現場ではヌーランド国務次官補(当時)が逐一監督。クーデターの一ヶ月も前に、ヌーランドはパイアット駐ウ米国大使に、ヤヌコヴィッチ退陣後のウクライナの閣僚人事について指示した。