ゴト

フロント・ページのゴトのレビュー・感想・評価

フロント・ページ(1974年製作の映画)
4.5
ビリー・ワイルダーとジャック・レモンのコンビでハズレなわけがない。テンポが良く、スピード感があり、正にスクリューボール・コメディの典型で、誰にでも勧められる作品。

たっぷりと観客を待たせてから余裕の登場姿を披露するジャック・レモンが、古典的だが王道で一気に心を掴まれた。単にお洒落というだけでなく、新聞屋稼業から足を洗いたいヒルディの気持ちが、自身の着ている衣服と周りの記者連中の格好という対比でもって良く表されている。

というか衣服だけでなく、相変わらずビリー・ワイルダーは小物の使い方が上手い。今回で言えば拳銃とかね。状況が変化することで、そのアイテムの持つ性質も変化することにとても鋭敏と言えるかもしれない。

ストーリーも面白おかしいだけでなく、観ているとつい力が入ってしまうような場面も多く、もう新聞記者は辞めたと言っておきながら、特大スクープを前にタイプライターを打つ手を止められないヒルディの姿なんかは、仕事に打ち込むことの楽しさを知っている人なら大いに共感できるのではないか。

ヒルディの上司、バーンズが最後に見せる粋な計らいからのちょっとした掌返しは秀逸。
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