”神は嫉妬深くて、愛を独占したがるんだ”
今日は朝からJoão GilbertoのÉ preciso perdoarを弾いてみてたので、ブラジルものを。
オルフェのギターが”朝日を昇らせる”オープニングシーンの美しさよ。
ブラジル音楽にハマり始めた2000年頃に観て、もう一度観たいと探してみたものの、配信系だけではなくTSUTAYA DISCASですら扱っていなかったのでとうとう中古DVDをポチってしまった。
(字幕なしならYouTubeで観れるけどね)
主役がいまいち男前じゃないのと、脚本や編集、演出のレベルの低さが目に付くけど、オリジナルよりこちらのほうが現代ブラジルの音楽や、カーニバル、救いのないファベーラをしっかり描いている。もし主役がセウ・ジョルジならこのストーリーが上滑りする事もなかっただろうなw
初回は当然気が付かなかったけど、以下のセリフにハッとする。
”僕らは一心同体”、”僕はユリディス、君はオルフェだ”
こんなとこに「Call me by your name」の原型があった😁
”ワルにならなくても稼げることを証明したいんだ”
ギリシャを端とするヨーロッパ、アフリカ、かつての宗主国ポルトガルなど多様な血が混ざり合ってできたブラジルの文化と、冥界のように救いのない貧困と犯罪の狭間に生きるファベーラで、1年に数日だけのカーニバルが生きがいになっている。父がすがるキリスト教と、(タカラガイを使った)おそらく黒人密教カンドンブレの祈祷をする母親など、主人公も混血であることが描かれている。
2002年の「City Of God」にも繋がるファベーラの貧困からの脱出がひとつのテーマ。
オリジナルは”継承”と”再生”で締め括られていたけど、こちらは救いがなかった点も意図があってのことだろう。
あと忘れちゃいけないのが、オリジナル曲もふくめ、Caetano Velosoがプロデュースした秀逸なサントラ。
「Caetano Veloso - Sou voce」とくにオープニングの曲は重要。
https://www.youtube.com/watch?v=RpPJOT6mUpo
https://www.allmusic.com/album/orfeu-19-tracks-mw0000445443
ちなみにオリジナルはギリシャ神話の「オルフェウス」をもとにしたヴィニシウスの戯曲を映画化(ヴィニシウス自身は認めてない)した1959年の名作「黒いオルフェ」で、第12回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、第32回アカデミー賞では外国語映画賞を受賞。この制作裏話を追ったドキュメンタリー「黒いオルフェを探して」も面白かったけどコレもFilmarks には無いなぁ。