よしまる

ローマの休日のよしまるのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.5
 映画オードリー・ヘプホニャララ公開記念レビューその1。

 オードリーマニアではないけれど、写真展とかあるとついつい立ち寄ってしまうし、「映画」というものの魔力に取り憑かれた者としては避けては通れない女優であることは間違いない。

 なので来月公開の「オードリーヘプバーン」の前に、ふだんあまりレビューしない彼女の主演作をサクッと振り返ってみることに♪

 まずはおそらく最も有名な初期の傑作「ローマの休日」。名匠ウィリアムワイラーの何でもこなすぶりにはただただ平伏すばかり。
 オードリーは本作で24歳にしてアカデミー主演女優賞に輝く。いま見るとオスカーにふさわしい演技だったかどうか。
 いや、この時にオスカーを得たからこそその後の数々の名作が生まれたと考えると、やはり価値のある受賞だったに違いない。その後5回もノミネートされながら結局主演女優賞は本作1回きりであったことが表すように、たとえ本作以上の栄誉に恵まれなかったとしても、そのことが彼女の役者魂を燃やし続けた理由になっていたということなのかもしれない。あくまで勝手な推論だけれど。

 さて、ヘプバーンが演じるのは某国のアン王女。
 その王女が執務やがんじがらめの生活から脱走し、街へ繰り出して市井の人々と触れ合うというファンタジー。エリザベス女王は実際にこれをやってたとのことで、本作のベースがそこにあるのでは?という見方もあるらしい。

 飛び出したローマの街で出会うのがグレゴリーペック。実年齢で13歳年上だけれど、ペックの美男子ぶりと、そこそこの経験値が必要な役柄というのを考えると、なかなか絶妙なベストマッチング。これ以降の作品がことごとくジジイとのラブロマンスばかりで萎えるので、若いオードリーの弾けんばかりのはしゃぎようを拝めるのはやはり本作がダントツということになるのだろう。
 つか、そもそもこれはリズが主役候補で、その後、先にペックの主演作としてスタートしてそこにオードリーが当てられたもの。得てしてこういう環境がスターを生みだす。

 王女だけにおしとやかな外出になるのかと思わせて、映画はかなりダイナミックな演出で楽しませてくれる。ゲリラ撮影かと思うような市街地でのベスパの暴走、微笑ましいアクションが満喫できるパーティ会場での乱闘など、やりすぎ感があって楽しい。
 超有名な真実の口のシーンはペックのアドリブで、オードリーの反応はマジもん、1テイクらしい。こういう奇跡的小ネタもも良い映画には付き物だ。
 
 ペックの親友のカメラマンや編集長とのやりとりもコメディとして非常にクオリティが高く、気の利いたセリフの応酬や、いちいちぶん殴られるカメラマンのリアクションも見どころ笑

 ローマという異国の風景、王女とのあり得ないロマンス、破天荒なデート、そしてエンディングは「アイアンマン」のラストシーンのような鑑賞後の清涼感。何もかもが「映画」という娯楽の箱に詰め込まれた宝物のような作品で、当時観た人が熱狂するのもわかるというもの。これから観る方も「親父が熱中するわけだ」と思うはず。

 ただし、アマプラでは絶対観ないように!正直ピンボケでローマの街並みやオードリーの容姿がまったく生きてないし、下手すると退屈な映画にさえ見えてしまう。お節介ながら、ご注意を〜❗️