ほおづき

桐島、部活やめるってよのほおづきのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.0
比較すれば原作の方が面白いとは思うけど、輝いている低ヒエラルキーの少年と悶々とした高ヒエラルキーの少年二人のラストの「邂逅」のシーン、そしてそこに繋がるまでの各エピソードからの収束は凄くきれい。

なんだかんだ人って無意識にヒエラルキーを通して物事を評価しちゃっていると思う。特に学校っていう閉鎖的な空間ではその傾向が強くて、運動できる子がカッコよく見えたり、目立ってるグループにいることが重要だったり、それらが人生の全てみたいな錯覚に陥って半分盲目になって生きてる。

それを作ったのが同じく縦社会で縛られた大人たちなのだから仕方ないのかもしれないけど、そのための交友関係や目指す目標とか、上下関係とか、ほんとはそんなことはど~でもよくって、周りの評価なんかを気にしないで好きなことをやってそれを好きと言えることが
一番かっこいい。

割と自由奔放にやりたいことをやってきた学生時代を送ってきたから当時観ていたら何も感じなかったかもしれないけど、こんな当たり前にみんなが感じているだけの垂れ流しの物語がここまで面白いの凄いな・・・って、この作品に出会って思った。

原作小説も映画とおなじく、同じ日を違う角度から描写していく物語だけど、違う人物の視点から見た時、前に読んだ人物の感情が何層にも重なっていくように感じられて、映画以上にぞわぞわした。
作者者が19歳だったていうのもあるけど原作が本当に凄すぎる。


全然関係ないけど
ニーアシリーズっていうゲームがあって、周回プレイする度に世界の印象が変わってくる演出あるんだけど、なんか似てる。