あしからず

月世界の女のあしからずのレビュー・感想・評価

月世界の女(1929年製作の映画)
5.0
「メトロポリス」が動のSFならこちらは静。
1000本目なににしようかなあと悩んだ結果これを。あまりに良すぎて震えた。
フリッツ・ラング最後のサイレント、最後のSFにして世界初の“本格”SF映画。
もちろん今観たら古典なんだけど20年代でここまで技術が進んでたのかと思うと感動。「メトロポリス」も当たり前に最高だけど、こちらは科学とロマンスとちょっぴりサスペンスを加えて美しく叙情的。

当時のロケット科学の最先端にいたオーベルト博士が監修していてリアリティましまし。すごいのはむしろ映画が現実を先取りしていて、発射のカウントダウンや水を張ったプールからの打ち上げ、段階的なロケットの切り離しなどを既に作中で予見している。その技術はナチスが機密漏洩を恐れて上映禁止にする程。
かと思えば、天井に電車のつり革的なものが大量にぶら下がってたり足を引っ掛ける輪っかを無数に床に取り付けるなどのアナログ感と、更に月の裏側には酸素がある設定で月面到着の早々に宇宙服を脱ぎ捨てるなど科学とファンタジーのアンバランスさ。なんとも魅力的。
冷たい方程式はこの作品を参考にしたのかしら
あしからず

あしからず