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ビッグ・フィッシュのYYamadaのレビュー・感想・評価

ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)
4.4
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
ビッグ・フィッシュ (2003)
◆主人公たちのポジション
・死期の近づく老いた父
・長く父と確執のある息子
◆該当する人間感情
 嫌悪、予期、感傷、感嘆

〈本作の粗筋〉
・ジャーナリストのウィルとジョセフィーンの結婚式。自らの人生を巧みに語ることに長けるウィルの父親エドワードは、ウィルの生まれた日に釣った巨大な魚の話をして招待客を楽しませていた。しかし、そのホラ話を嫌悪するウィルは父に憤りを隠せなかった。
・そして3年後、父エドワードは病で倒れ、余命いくばくもない状態になる。ウィルは最期を迎えようとするエドワードから、今までの人生を聞くことになるのだが…。

〈見処〉
①大切さに気づいたのは、最期のとき。
 人生なんて、まるでお伽噺さ——
・『ビッグ・フィッシュ』は、1998年に刊行されたベストセラー小説「ビッグフィッシュ - 父と息子のものがたり」を原作に2003年に製作されたファンタジー映画。
・タイトルの「Big Fish」とは「大物」を差すが、「fish story」の「ほら話」の意味合いを絡め、「大ウソつき」という意味を持たせている。
・本作の監督は、『シザーハンズ』など多くのファンタジー映画にて「異形への愛」を描いてきたティム・バートン。本作の製作時期に実父を亡くし、ヘレナ・ボナム=カーターとの間に第一子を授かったばかりのバートン自身の物語とも取れる本作は、彼が「現実世界」を作品舞台として描いた初めての作品となる。次作の『チャーリーとチョコレート工場』と同様に、父と子の和解というテーマが根底にあるが、本作がティム・バートンの最高傑作と評される名作である。
・出演は、アルバート・フィニー扮するエドワードの若き日をユアン・マクレガーが、ジェシカ・ラング扮するその妻の若き日を『マッチスティック・メン』のアリソン・ローマンが演じる。共演は、『君が生きた証』のビリー・クラダップ、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』のマリオン・コティヤールに加え、ヘレナ・ボナム=カーターやダニー・デヴィートなど、ティム・バートン作品の常連俳優も多く顔を揃えている。

②結び…本作の見処は?
◎: 奇才ティム・バートンによる本作の演出は、老エドワードの語るファンタジー色溢れる若き日の「回想シーン」と、彼が病で死にゆく「現実シーン」が交互に描かれる二面構造。息子のウィルによって「回想シーン」と「現実シーン」が結実し、父エドワードの本来の姿が描き出されるクライマックスは、涙なしでは見ることが出来ない。ファンタジー描写に意義を持たせた画期的な作品。
◎: 本作は「父と子の確執」という普遍的なテーマを扱っているが、ホラ話が「嘘」ではなく「真実が誇張された物語」と理解出来た息子によって、親子の絆を取り戻す展開は、共感が出来る。
◎:ラストの「お葬式シーン」で感動出来る稀有な作品。
○: ユアン・マクレガー扮する若き日のエドワードとヘレナ・ボナム=カーターの関係性など、全てがハッピーエンドではない物語が、一概のファンタジー映画でないことを証明。
○:回想シーンには『チャーリーとチョコレート工場』キャストが多数登場。同作ファンにはたまらないキャスティング。

③本作から得られる「人生の学び」
・愛情を注ぎ、子を育てるのは親の務め。愛情に感謝し、親を看取るのは子の務め。
・自分の葬儀で、多くの知人が笑顔で思出話を語ってくれるような人生はステキだ。
・寓話のなかにも真実あり。
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