心身のエネルギーが上がらない時に聴きたいラストソング
それは、
"Amazing Grace"
私は唐沢寿明版ドラマ「白い巨塔」が大好きです。そしてこの曲が流れると、財前五郎が死を間近にしてようやく至る心境をまるで先取りしたかのように、命の荘厳さと慈愛の気持ちが湧き上がってくる。
"Amazing Grace"は「神の恩恵」と訳されることもあるけど、誰もが皆行き着く死、誰もが行き着く最期、その時に人生は愛おしい、ありがとう。と思えるだろうか。感謝が溢れるのだろうか、私は無宗教の人間ではあるけど、そんな最期を澄んだ気持ちで迎える想像をしてしまう。
むりやり気持ちを上げるのではなく、静かに1番深い部分で覚悟して、最善を尽くして生きていく。
田宮二郎主演の映画にはこの曲は流れないが社会派リアリズムの巨匠、山本薩夫監督の代表作として凄まじく緊迫感に満ちた2時間29分ぎっしりと濃い人間ドラマが詰まった傑作だ。東野英治郎、船越英二も素晴らしい。
私は死ぬ直前まで、家族と過ごし、映画を見て、レビューを書きたい。ラストシネマは何にしようか。大切に選びたい。