これがかの有名なボヴァリー夫人…!
綺麗なお洋服が欲しい。
男性にちやほやされたい。
こんな田舎町から出て行きたい。
そんな誰もが一度は抱いたことのある、”女の子”としての願い。
現代の感覚で言えば、そんなに都会に憧れたり欲しいものがあるなら、男の力で何とかしようとしないで自分で手に職つけて出てけばいいじゃん…と思うんだけど、時代的にそんなのあり得なかったんだろうなぁ。なんて不自由な時代。
そして彼女は片田舎に埋もれるには勿体ないほど洗練されていて小悪魔的。そして誰より自分の魅力を理解している。だからこそ私なら…!とより渇望する。
しかし夢に取り憑かれた彼女は、欲望に身を焦がし堕ちていく。
ボヴァリー夫妻のすれ違いが浮き彫りとなる、舞踏会のシーンが美しく最高に残酷。ヴィンセント・ミネリの美的センスが爆発。
鏡に映る空虚な理想。あの世界に囚われてしまった彼女は愚かで憐れだったけど、あの瞬間の彼女は息を呑むほど美しかった。
他の監督の「ボヴァリー夫人」も観てみたい。