このレビューはネタバレを含みます
上映当時たぶん映画館で観た、大好きだった映画。10年以上ぶりの再鑑賞。
やっぱり私はこの感じが好きだなと思った。
のびができるくらい余白がたっぷりあった方がいい。それで、急がず焦らず、気にしないことは気にせず、心に余裕を持って暮らしたい。べつに無理して頑張らなくてもいいし、逆に何かを禁止されているわけでもない、そういうところにいたい。
初鑑賞時と比べて、大人になった私は、休むのがとても下手になった。元から下手だったけど、より上手くできなくなった。体を壊すくらい、どころか壊して休めと医師に言われてもなお、休むことはとても難しかった。休んではいけないと何かに追い立てられている気がして、うまく落ち着けない時も多い。
そんな中で、かき氷を食べたり海を眺めたりしている彼らを見ながら、一緒に休むことができた。あれやらなきゃとか、これをこうした方がとか、何も考えずにただ静かにその場にいることができて、助かった。
この感じ、たぶん私には好き云々どころか必要なのかもしれない。自分の中のどこかに余白を持っていないと、生活をやっていく難易度が一気に高まるようだ。
思想が含まれる作品といえばそうだから、再鑑賞にあたってある種の宗教的なものだったらどうしようと少し警戒して臨んだけど、『かもめ食堂』と同様に 何も導かず強制も否定もしないとわかる場面がたくさんあって、そういうものじゃないと理解できてよかった。
なんでかわからないけど、焦らなくてもいいんだなと分かったのでありがたかった。もたいまさこには不思議な魔力がある……
つい無理して頑張りすぎてしまうから、休む練習としてまた近々観たいと思う。フードスタイリストさんがいい仕事をしているから食欲も湧くしなあ。
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サクラさん「大切なのは、焦らないこと。焦らなければ、そのうちきっと。」
ハルナ「いくらまじめにやってても、休憩は必要です。そうでしょ?」