このレビューはネタバレを含みます
【 未来を覗き、過去を辿る 】
走馬灯の如く、うしろ向きに走る作品。
ヨンホ(ソル・ギョング)は、未来が見えたのだろう。最後の河原で、「懐かしい」と漏らしていたのが印象的だ。
あの河原から始まり、あの河原で終わった。あの河原から終わって、あの河原から始まったともいえる。どちらのヨンホも、目に涙を浮かべていた。悲しきかな、これは嬉し涙ではないことだけは確かだ。もちろん、これから歩むであろう辛い未来と、歩んできた辛かった過去に対しての涙である。
視点を変えてみる。では、始まりの河原と終わりの河原とではどちらが幸せだったのだろう。もちろん、始まりだ。愛するスニム(ムン・ソリ)がいたからだ。同じ場所だけど、同じ涙だけど、愛する人が隣にいるというだけで幸せな理由になるはずだ。否、未来を覗いて辛酸を“なめた”分、怖い線路を走らない人生を送ることができるはず。もしかしたらラストシーンは、愛する人から貰ったペパーミントキャンディを“なめて”、幸せな線路を走ろうと決意した表情だったのかもしれない。