千年女優

魔女の宅急便の千年女優のレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
3.5
田舎町に魔女の血を引いて生まれ育った13歳の少女で、しきたりに従って喋る黒猫のジジと親元を離れて修行の町探しへ飛び立ったキキ。海に囲まれた街コリコを気に入って意気揚々と降り立った彼女が、期待とは裏腹に冷たい街の人々に戸惑いながらも空を飛んでものを届ける「魔女の宅急便」を開業して奮闘する様を描いたアニメ映画です。

トップクラフトを前身にして立ち上げるも最初の三作で期待した興行収入を満たせなかったスタジオジブリが資金回収のために前作から一年で作り上げた宮崎駿監督作品で、角野栄子の児童文学を原作にした物語が受けて日本のアニメ映画記録を更新する43億円の興行収入を稼ぎ出し、日本のアニメ界におけるジブリの存在感を決定付けました。

初期宮崎作品の代名詞「空飛ぶヒロイン」で世相を表す女性の社会進出を描きますが、鈴木敏夫の助言によるその構想と原作のコンセプトとの乖離が特に終盤に目立つところはあります。それでも近藤喜文が作画監督を務めて到達点に達した活き活きとしたキャラクターの躍動を荒井由実の名曲で彩ってアニメらしい快楽を感じさせる一作です。
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