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女ひとり大地を行くのらんらんのレビュー・感想・評価

女ひとり大地を行く(1953年製作の映画)
3.5
1930前後恐慌が起こり東北の農村では娘を売る者が続出
山田五十鈴&宇野重吉夫婦も幼い子供たちを抱え生活は苦しく借金が返せないでいた
そこで宇野重吉は北海道へ炭鉱夫として働きに出るのだが、過酷なタコ部屋労働が待ち受け、さらには炭鉱事故に巻き込まれてしまう
いつまでも帰らない夫に会いに行った山田五十鈴はその死を知りショック、行くあてもないのでこの地で労働をしながら暮らすことになる
物語は戦中、戦後と時代の移り変わりと共に変化する労働者たちの意識を描く

オリジナル版は164分らしいのだが、朝鮮戦争を連想させる箇所はカットされてしまったらしく、今回見たのも32分短い132分版です
なんで朝鮮戦争を連想させるとダメなんだろう、、、?

ストーリーの流れは
山田五十鈴が幼い兄弟を抱えて女手一つで育て上げなきゃいけないのでお金が必要
周りからは安全な飯場での仕事を勧められるが、危険を承知で収入の多い坑内作業を志願し働く
そのうちに戦争が始まり、激化
兵隊に取られちゃって男手がほとんどいないので中国人捕虜を強制労働させたり
戦後は成長した息子たちのそれぞれの生き方、変わる労働意識
理不尽な職場を改善するため労働者たちは一丸となって戦っていく、、、って感じ

まあ、、、この内容からして楽しいとかでもないし、面白い面白くないとかでもないですよね
ラストの展開が少し強引、何この終わり方?って思わなくもないけど
それなりにリアリティがあって見応えあったし、日本の炭鉱史なんかの勉強にはなりました

そして出演者のみなさんが好演してます、地味なメンツなんだけどその地味さがハマっていて良いんですよねー!

宇野重吉などのタコ部屋労働者ににらみを利かす係員織田政雄(出演は最初のほうだけ?)
内藤武敏ら労働者に厳しく当たる係員浜村純(出番は終盤ちょっただけ)
戦中強制労働させられる中国人捕虜加藤嘉
夫を鉱山事故で亡くすも強く逞しく明るく生きる北林谷栄(奥さん姿からお馴染みの老け姿までの変化を見せてくれます)
山田五十鈴の息子たち織本順吉、内藤武敏

うん、みんなきったなくて地味だったわーw
そんなみんなに混ざって山田五十鈴もきったなくなって働くの、それでも尚綺麗なんだけど頑張ってます

宇野重吉は、、、いかにもな風貌で活躍が期待されたけどなんか微妙、終盤のまさかの再登場は驚いた

終盤のストーリーが映画としてまとまってたら良かったかなと
唐突な宇野重吉の再登場、山田五十鈴の退場、この辺りの必要性がよくわからないもん
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