浅野公喜

私たちの幸せな時間の浅野公喜のレビュー・感想・評価

私たちの幸せな時間(2006年製作の映画)
3.5
カン・ドンウォン主演の死刑囚と元歌手で自殺未遂を繰り返す女性との交流を描いたヒューマンドラマ。

再び世に出る事なく死が約束されている相手だからこそ人に言えない嫌な過去を語れ、そんな相手だからこそ辛い生い立ちや事件の真実を語れることで二人に絆が生れる流れは自然で見事で、演技も丁寧。しかし演じる二人が美男美女で、テーマに対し映像が美し過ぎるのがひっかかる所。表面的にはお互い心の傷を持っていたから交流が始まった、とのなるのかもしれませんが果たして二人がこんなに格好良い&綺麗でなかったら交流が生まれ、そしてこんなに悲しむ事、そして(視聴者含め)死刑制度を見直す事が出来たのだろうか?と考えてしまうと、一見凄く切なくても彼らは凄く恵まれている方であり恵まれない人間(死刑囚)に想像を働かせれば思ったより心には強く訴えてこなかった・・というのも事実です。

二人を繋ぐユン・ヨジョン演じるシスターを主人公、あるいは彼女の目線でより物語を描いたら良かった気がしなくもないです。映画も商売且つ日本以上にルッキズムの意識強い韓国故のキャスティングの傾向かもしれませんが、時に日本以上に心に訴える作品を作るのが上手い韓国のちょっとした弱点かもしれません。
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