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ティン・トイのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ティン・トイ(1988年製作の映画)
3.4
【はじめの一歩】

ご存知「TOYSTORY」の原型ともなった「小さいけど大きな一歩」の作品。

何年か前にNHKでディズニー、ピクサーの短編作品ばかりを集めて放送したことがあって、その時に録画してあったデータを消さずにずっと残していました。
で、おうち時間も長くなってきたので、子供たちと録り溜めたやつでも観ようかね~なんていいながらタイトルを検索していて発見。

(うわ~懐かしいね~。前に何回も観てたよね~)

という事で久しぶりに鑑賞。

前に観たときは子供も小さかったし(TVで放送されたのは5年くらい前)、まだフィルマも始めてなかった頃かもしれない。
その間に録り溜めていたバラエティなんかは星の数ほどあったけど、殆どは観たら直ぐに消していたし、中には観ないまま消してしまったものだって沢山あった。
そう考えると、何度も観ているけど消せずに残しているのって、やっぱり思い入れみたいなものもあるのかな・・・。

それは単に「面白い」云々以上に、まだ小さかった子供と一緒に観た時のリアクションとか、色んな思い出もセットになっているからなのかな~って。
だったらディスクに焼いて残せば・・ってなりそうなもんだけど・・・そうでもない。

たぶん、ディスクに残した奴をファイルから引っ張り出して観るか?ってなるときっと観ないから。
そうじゃなくて、子供たちと「何を観ようかね~」って言いながら録画リストを観ながら「あ、これまた観たい!」っていうタイミング(距離感)が丁度いいんだろうね。

世界観なんかはホントにトイストーリーに近いというか「子供から見たおもちゃ」ではなく「おもちゃから見た子供」っていう発想をそのまま映像化したっていう事がよくわかる作品(いい意味でね)。

この発想があったからこそ、その後のウッディやバズたちの大冒険が生まれたんだし、一週して「おもちゃ→子供→おもちゃ」と、もう一度視点を子供に戻すことで、おもちゃと子供の「目に見えない結びつき」を見事に表現できたんだと思う。
決して一方通行ではなく、それぞれが相手の事を大切に思っているんだよっていう。

そして、だからこそ人間に対して『無償の愛』のような、「何をされても僕は大丈夫だよ」っていう都合のいい存在に終始しないところがまたいい。

愛してくれる子供のためならどんなことも頑張れるけど、愛情がなかったり乱暴に扱われれば、おもちゃだって好きになってくれないんだよっていうメッセージの描き方がやっぱり上手だなって思う。

台詞で補うのではなく、「おもちゃだって嬉しかったり悲しかったりするんだよ」という事を直感的に感じられるような内容なので子供が観てもわかりやすいと思うし、大人が観ると「もしかしたら、自分が子供の頃のおもちゃって・・・」と懐かしい部分をくすぐられるようなエモいお話しでもある。

短編ということもあって作品としての完成度はそこまで高くはないけど、この当時の作品と考えると、特におもちゃたちの映像クオリティは相当高い。
そして、単純におもちゃを主役にしたというだけでなく、おもちゃから見た「子供」に対する距離感なんかは、間違いなくTOYSTORYへと引き継がれていったテーマだったと思う。
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