コーカサス

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カットのコーカサスのレビュー・感想・評価

4.2
パイク (ホールデン) をリーダーとする5人の強盗団“ワイルドバンチ”とマパッチ将軍(フェルナンデス) 率いる軍隊との壮絶な死闘を描いた西部劇の傑作。

スローモーションを駆使した凄まじくも美しい銃撃戦は“死のバレエ”と呼ばれ、そのペキンパー特有の“バイオレンスの美学”は、後のジョン・ウーやタランティーノに多大な影響を与えた。

当時の最多3600カットという途方もないカット数には今も驚くばかり。
その細かなひとつひとつのカットも派手な銃撃シーンだけが取り沙汰されるが、ペキンパーの丁寧な仕事ぶりは “暴力” だけではなく、冒頭から劇中のいたるところに散りばめられた“静”にもあり、あらためて観てみると、実に計算し尽くされた名作であることに気付かされる。

こうして時代に取り残された男たちを描いた物語は、時代に追い抜かれてしまった西部劇というジャンルと相まって “最後の西部劇” となり最高傑作となった。

78 2021